臨床薬理の進歩 No.43
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表2 有害反応CRT: chemoradiotherapy, DCF: Docetxel/Cisplatin/5-FU chemotherapy , CTCAE version4.0 grade3以上の発生頻度を示す。結  果A群(CRT先行)(n=49)24 (49%)21 (41%)2 (4%)4 (8%)0 (0%)0 (0%)0 (0%)9 (18%)2 (4%)0 (0%)7 (14%)B群(DCF先行)(n=50)44 (88%)47 (94%)1 (2%)1 (2%)4 (8%)10 (20%)0 (0%)26 (52%)2 (4%)1 (2%)1 (2%)p値<0.001<0.0011.0000.2040.0920.0011.0000.0011.0001.0000.006予定とした。 統計分析は、Statistical Package for Social SciencesバージョンⅡ(SPSS Japan)を使用して行った。患者背景 5年間で登録6施設より101例の患者登録を行った。そのうち、2例の患者は登録基準を満たさないとして、不適格の扱いとした。残る99例を適格症例とし、ランダムに2群に振り分けて、化学放射線療法先行(A群)49例とDCF化学療法先行(B群)50例に振り分けた。両群の患者背景を表1に示す。両群間で患者背景に有意差を認めず、両群同等に振り分けられていた。導入療法の有害反応 導入療法の初期治療時の有害反応を表2に示す。Grade 3以上の白血球減少、好中球減少の頻度は、ともにB群で有意に高かった(49% vs 88%、p<0.001、41% vs 94%、p<0.001)。Grade 3以上の下痢はB群で有意に多かった(0% vs 20%、p=0.001)。発熱性好中球減少も、B群で有意に多かった(18% vs 52%、 p=0.001)。重篤な有害反応に関しては、B群で広血液毒性白血球減少好中球減少貧血血小板減少非血液毒性嘔吐下痢腎障害発熱性好中球減少瘻孔形成腸管壊死食道炎範囲小腸結腸壊死が1例(2%)発生した。同患者は、広範囲小腸結腸切除で救命でしたが、その後の治療継続が困難であった。腫瘍部の瘻孔形成はA群で2例(4%)、B群で2例(4%)で両群同等であった。Grade3以上の食道炎はA群で発生頻度が高かった(14% vs 2%、p=0.006)。プロトコール治療経過 プロトコール治療の治療経過を図2に示す。A群では、初期導入化学放射線療法でT4解除が得られ切除可能と考えられたのが34例であった。治療中に遠隔転移が判明したのが4例であった。残る11例は、引く続き2次治療としてDCF化学療法を施行した。そのうち、7例は2次治療後に切除可能と判断した。最終的にA群で41例(84%)にCSを行った。B群では初期導入DCF療法でT4解除が得られ切除可能と考えられたのが25例であった。治療中に遠隔転移が判明したのが1例であった。3例で、有害反応、脳血管障害、認知機能障害でプロトコール治療中止となった。残る21例で、2次治療として化学放射線療法を施行し、治療終了後17例で切除可能と判断した。最終的に42例(84%)でCSを施行した。最終的には、CSが可能であった割合は両群同等(84% vs 84%、p=1.000)であったが、12

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