* 1 MASUO YUSUKE * 2 KATO YUKIO 増尾 友佑*1 加藤 将夫*2はじめに要 旨 トランスポーターの生体内基質の血漿中濃度変化は、ヒトでの薬物相互作用予測に活用でき、排出トランスポーター BCRP の生体内基質同定を目的とした。大豆食品を混餌したマウスに、BCRP 阻害剤 lapatinib を投与すると、 daidzein sulfate(DS)の血漿中濃度が増加した。BCRP 阻害剤として lapatinib または febuxostat は、DS およびequol sulfate(ES)の AUC を、3.6 および 1.8 倍、1.6 および 4.8 倍、それぞれ増加させた。ヒト iPS 細胞由来の小腸上皮様細胞の頂端膜側に親化合物を添加後、lapatinib または febuxostat の存在下で、基底膜側への DS、ESの出現が増加し、小腸の BCRP の阻害が示唆された。Lapatinib と febuxostat は小腸の BCRP を阻害し、DS、ES の血漿中濃度を増加させた。BCRP を介した薬物相互作用評価に関して、臨床研究が必要である。薬物との併用試験よりも汎用性が高い点で有用である 3)。実際、coproporphyrin Ⅰ/Ⅲは、肝に発現する取り込みトランスポーター organic anion transporting polypeptides 1B1(OATP1B1)の内因性基質であり、OATP1B1 の阻害剤投与時にその血漿中濃度が増加する。他にも、organic cation transporter 2(OCT2)やorganic anion transporter 1(OAT1)といった取り込みトランスポーターでは、複数の内因性基質が同定されているものの、BCRP などの排出トランスポーターのバイオマーカーは未だ同定されていない。BCRP の 生 体 内 ま た は 食 餌 由 来 の 基 質 は、pheophorbide A4)、riboflavin A5)、尿酸 6)、植物性エストロゲンの硫酸抱合体 7)等が同定されている。しかし、これらのいずれの基質も BCRP 阻害剤を投与された際に血漿中濃度が変化するかは不明であり、BCRP 阻害ポテンシャルを評価するバイオマーカーに適用可能かは不明である。 Bcrp ノックアウトマウスは、野生型マウスと比較Key words:トランスポーター、BCRP、薬物相互作用、バイオマーカー、メタボロミクス金沢大学医薬保健研究域薬学系 分子薬物治療学研究室 同 上148 トランスポーター BCRP(Breast Cancer Resistant Protein/ABCG2)は、小腸管腔側、肝臓胆管膜、血液脳関門の基底膜側の細胞膜に発現し、基質化合物を細胞外へ排出する 1)。ABCG2 の遺伝子多型の一つである c.421C>A と野生型のヒト個体間では、複数の BCRP 基質となる薬物で体内動態が変化す る こ と か ら、B C R P は こ れ ら の 基 質 薬 物 の体内動態の規定因子の一つである。このうち、sulfasalazine と rosuvastatin は、BCRP 阻害を介した薬物相互作用の評価に用いられるプローブ薬物として提唱され、rosuvastatin の AUC は BCRP 阻害剤の febuxostat によって 2.1 倍に増加した報告がある 2)。 医薬品の開発過程において、BCRP の阻害ポテンシャル評価が求められる。トランスポーターの内因性基質は、in vivo においてトランスポーターの阻害するバイオマーカーに活用可能であり、プローブメタボロミクスによるトランスポーターの食餌由来バイオマーカー探索Searching for biomarkers of transporters from food-derived compounds by metabolomics
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