臨床薬理の進歩 No.43
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*1 IKEDA SATOSHI *2 OGURA TAKASHI *3 KATO TERUFUMI *4 KENMOTSU HIROTSUGU 静岡県立静岡がんセンター 呼吸器内科*5 IWASAWA TAE *6 MISUMI TOSHIHIRO *7 OKAMOTO HIROAKI 池田 慧*1 小倉 高志*2 加藤 晃史*3 釼持 広知*4岩澤 多恵*5 三角 俊裕*6 岡本 浩明*7はじめに要   旨神奈川県立循環器呼吸器病センター 呼吸器内科       同   上神奈川県立がんセンター 呼吸器内科神奈川県立循環器呼吸器病センター 放射線科横浜市立大学医学部 臨床統計学横浜市立市民病院 呼吸器内科そのうち30-40%は病変が同側胸郭内に加え対側縦隔・鎖骨上窩リンパ節までに限られる限局型(LD)、60-70%が胸郭外にまで広がる進展型(ED)に分類される。切除可能なのはLDの中でもごく一部Key words:小細胞肺癌、間質性肺炎、特発性肺線維症、急性増悪、ニンテダニブ背景 小細胞肺癌のうち、5-10%が診断時に間質性肺炎を合併する。間質性肺炎合併例に対する化学療法を行うと、5-20%で間質性肺炎の急性増悪を引き起こし、致死率は30-50%と高い。間質性肺炎合併小細胞肺癌を対象とした唯一の前向きパイロット試験の結果を参考に、カルボプラチン+エトポシドが標準治療として用いられることが多いが、急性増悪を惹起するリスクのより低い有効な治療選択肢の確立が必須である。ニンテダニブは、血管新生阻害薬としての抗腫瘍効果に加え、急性増悪の発症を抑制する効果が期待される。目的 特発性肺線維症を合併した切除不能小細胞肺癌を対象として、現在の標準治療であるカルボプラチン+エトポシドに、急性増悪の発症抑制効果が期待されるニンテダニブを上乗せした3剤併用療法の安全性・有効性を評価する。方法 特発性肺線維症を合併した切除不能な小細胞肺癌に対する標準治療の確立のため計画されたTORG1835/NEXT-SHIP試験は、本邦の20施設が参加する多施設共同単群第Ⅱ相試験である。カルボプラチンとエトポシドは4コース施行し、ニンテダニブはプロトコール治療中止規準に該当するまで継続する。主要評価項目は細胞障害性抗癌剤の投与終了後28日までの特発性肺線維症の急性増悪発現割合であり、目標登録数は33例である。結果 2019年8月23日に新潟大学中央臨床研究審査委員会で承認され、同年10月18日からjRCT公開、10月21日から症例登録を開始した。2021年8月4日時点で25例が登録されている。考察 本試験でポジティブな結果を示すことができれば、治療選択肢が極めて少ない間質性肺炎合併小細胞肺癌の標準治療の選択肢の1つとなりうる。extensive disease small cell lung cancer with idiopathic pulmonary fibrosis小細胞肺癌と間質性肺炎 小細胞肺癌は肺癌全体の約15%を占めており、1特発性肺線維症を合併した切除不能な小細胞肺癌に対するカルボプラチン+エトポシド+ニンテダニブ併用療法の第Ⅱ相試験A phase 2 study of carboplatin and etoposide plus nintedanib for unresectable limited /

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