臨床薬理の進歩 No.43
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謝  辞利益相反これまでの多因子 FH と称する一群の報告からは、これらの症例は monogenic FH と比較し予後は良好・表現型は軽症であることが知られている 14,15)。このような観点から、これまでいわゆる FH と考えられてきた FH を遺伝子解析による陽性をもって診断し区別すべきと思われる。 本研究の遂行にあたり協力を頂いた、金沢大学医薬保健研究域医学系 循環器内科学講座の本田和子氏(技術補佐員)、山本幸夫氏(技術補佐員)に深く感謝申し上げます。 本研究は、臨床薬理研究振興財団による研究助成の支援の元に遂行されました。 開示すべき利益相反(COI)はない。122集団の一部には多因子 FH が存在するものと思われる。実際に、わずか 6 ~ 12 個程度の LDL コレステロール関連の SNV の効果量からこのような多因子 FH を診断する試みについてはいくつかの報告がある 8,9)。多因子 FH を見極める現状での有用なサロゲートマーカーは存在せずこのような網羅的遺伝子解析が必要であることも示唆された。我々はその他の希少有害変異の存在においてもこのような FH 症候群を引き起こす可能性を示す結果を得ており 10 ~ 12)、今後希少有害変異の解析も同時に行う必要がある。現状でのサンプル数では冠動脈疾患の有病率との関連は見いだせなかったが、今後サンプル数を増やし検討を追加し、冠動脈疾患との関連を検討する。一方で、FH 症候群という症候においては、いわゆる古典的 FH 遺伝子(LDLRや PCSK9)が、LDL コレステロール値に対して、さらには冠動脈疾患に対して極めて大きな影響を及ぼしていることを改めて確認できた。これらの所見は過去に我々が見出してきた所見と合致する 13)。

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