臨床薬理の進歩 No.43
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図2 MRI画像上に設定された関心領域(線条体)の例行った。 [11C]racloprideの合成は、[11C]の消失半減期が約20分と非常に短いため、毎回のスキャン時に当センター内にあるサイクロトロン施設で行った。画像データ解析 PETデータの再構成には3D-OSEMアルゴリズムを用いた。60分(3600秒)のPETデータは撮像後から順番に12の20秒イメージと56の60秒イメージにわけて再構成し、体動の影響をうけたイメージを除いた後、12の20秒フレーム、16の60秒フレーム、10の240秒フレームに画像解析ソフトウェア、FSL(FMRIB Centre、UK)に実装されるツール、FSL MERGEを用いて統合し、それらのフレームに対しFSL MCFLIRTを用いて体動補正をかけた。 同じくFSLツールのFLIRTを用いてPETイメージとMRIとのコレジストレーションを行った。 次に、MRI画像上に関心領域である線条体を設定した(図2)。設定には、やはりFSLツールであるFIRSTを使用して自動的に行った。参照領域として小脳半球を設定したが、スタンダードスペース(MNI152)上に予め設定しておいた小脳半球領域をFSL FNIRTを使用して各被験者のMRIスペース上に設定した。 上記したPETイメージの各時間フレームから線条体(関心領域)と小脳半球(参照領域)におけるアクティビティを抽出(放射能曲線)し、そのデータからPET画像解析ソフトウェア、PMOD(PMOD Technologies Ltd.、Zurich)でSRTMと呼ばれるモデルを使ってD2受容体結合能を算出した。受容体結合能算出のための基本式と各変数の説明は次の通りで非線形回帰分析で解く。CT(t)= R1CR(t)+(k2 – R1k2/(1 + BPND))CR(t)×exp(-k2t/(1 + BPND)CT(t):関心領域の放射能曲線;CR(t):参照領域の放射能曲線;R1:K1とK1’の比(K1:関心領域への流入速度係数;K1’:参照領域への流入速度係数)。統計解析と仮説 本稿作成時点で、まだ開鍵作業が完了していないため、統計解析の項目は予定する内容となる。 統計解析にはSPSS19を用いる(IBM、Armonk、NY、United States)。Two-way repeated measure ANOVAで、群間と群内の間の交互作用を評価し、次に群間および群内比較を行う。イストラデフィリン群での線条体D2受容体結合能の増加を反映し、交互作用が有意となると期待している。副目的は、線条体D2受容体結合能との関連が指摘されてきた行動表現型が介入で変化するかどうか、もし変化した場合、D2受容体結合能の変化と行動表現型の変化との関連を評価することである。主目的同様にTwo-way repeated measure ANOVAで交互作用を評価し、偏相関分析で交絡因子となり得る年齢の影響を除いた上で、心理検査スコアとD2受容体結合能の間の相関を評価する。112

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