臨床薬理の進歩 No.43
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In-Person Screening SessionConsent,MRI scan,Blood testUrine drug test(Week)-12 to -1RandomizationTest Day 1PET scan,Neurocognitivemeasurements,Urine drug test図 1 研究フローチャートTest Day 2PET scan,Neurocognitivemeasurements,Urine drug test2-Week Treatment PeriodIstradefylline 40 mg/day (n=20)Placebo (n=20)012アデノシン2A受容体遮断薬による線条体ドパミンD2受容体に対する影響の評価-PETスキャンを含むプラセボ対照ランダム化二重盲検比較試験-(Lonza、Basel、Switzerland))に入れることで、盲検性を保つよう努めた。実薬および偽薬の入ったカプセルの重量差は、約 0.1 g 以下となるように乳糖をいれて調整した。副作用として出現頻度が比較的高い不眠の可能性を低減させるため、被験者は薬剤を毎朝 6 時から 8 時までの間に服用するよう指示した。MRI スキャン Siemens MAGNETOM Verio 3T (Siemens Healthineers、Erlangen、Germany) を使用してMRI 撮像を行った。得られた T1 強調画像データは、頭蓋内病変の除外と PET データ解析に利用した。撮像条件は、TR = 1900 ms、TE = 4.38 ms、flip angle = 15、field of view = 250 × 250 × 165、165 slices、thickness = 1 mm と設定した。MRI で得られた画像データは、スクリーニング時の頭蓋内病変の除外の他、PET スキャンデータの解析(後述)にも使用した。PET スキャン Siemens True Point Biograph 16(Siemens Healthineers、Erlangen、Germany)を用いて PET撮像を行った。当該機種のもつ空間分解能の指標、full-width at half-maximum(FWHM)は 4.1 mm で、有効視野を 162 mm と設定した。減衰補正のための低線量 CT スキャンの後、D2 受容体結合能の測定に広く用いられており、日本アイソトープ協会ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟薬剤として認定している PET トレーサー、[11C]raclopride(10 ± 1 mCi)を肘正中皮静脈から静注するのと同時に3D モードで 60 分間のダイナミックスキャンをングセンターに来所の上、研究についての説明をうけ、説明後、文書による同意を確認した上で、神経学的検査・精神疾患簡易構造化面接(M.I.N.I.)・血液検査・頭部 MRI 検査・呼気中の一酸化炭素濃度測定(新型コロナウイルス感染症の流行に伴い途中から除外)を含むスクリーニングが行われた。研究対象者は平均年齢を合致させ、イストラデフィリン群とプラセボ群に割り付けられた(図 1)。 研究対象者は、2 回目来所の際、基準となるPET スキャンおよび神経心理検査(バラット衝動性尺度(BIS-11)・感情制御困難尺度(DERS)・トロント無感情症尺度(TAS-20)・エップワーズ眠気尺度)が行われた後、イストラデフィリン(40 mg)もしくはプラセボを 2 週間内服(被験者の都合により最大 3 週間まで延長可能)した。内服期間中は内服アドヒアランスおよび副作用の確認のため、研究チームからメールなどの手段を通じて、毎日連絡をうけた。また、期間中はカフェイン摂取に軽度の制限(コーヒー・紅茶・緑茶は 1 日 2 杯まで、『レッドブル』や『モンスターエナジー』などの所謂エナジードリンクは 1 日 1 杯まで)をかけた。 2 週間の投与期間の後の、3 回目の来所時に 2 回目の来所時と同様の PET スキャン・神経心理検査を行った。さらに、2 回目の PET スキャンの 1 週間後に電話連絡で有害事象を確認した。薬剤 実薬であるイストラデフィリン(ノウリアスト® 色付きのカプセル(カプスゲル DBcaps サイズ AA20 mg 錠、協和キリン株式会社)およびプラセボ薬(サティスフェイク 03、株式会社メトグリーン)を111111

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