臨床薬理の進歩 No.43
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:100 μmを構築し、現在その活用を進めている。具体的には、腫瘍組織検体から腫瘍細胞と正常細胞とをレーザーマイクロダイセクション法(LMD法)を用いて分離し、それぞれをレクチンアレイ法にて解析してその違いを明らかとする方法であり、現在順調に研究が進んでいる。PIGRにおける糖鎖解析においても、今回の探索的研究からレクチンXを同定することができたが、裏付け実験としてレクチンアレイ法の解析も行っている。さらにはPIGRに対するモノクローナル抗体の作製にも成功しており、現在PIGRに対する抗体情報を利用したPIGR-CART細胞を作製しその抗腫瘍効果を検証している。また同定したレクチンとPIGR-CARTを組み合わせたDUAL-CARTシステム(図2)の構築にもトライしはじめたところである。 これまでにCD28やCD137(4-1BB)といったco-stimulatoryシグナルを搭載した第二世代のCAR-T療法の造血器腫瘍に対する抗腫瘍効果が認められ、欧米及び日本において承認を受けている。さらなる次世代型のCAR-T療法の開発や、また固形がんに対する開発も進められており、多くの臨床試験が世界中で行われているが、これまでの固形がんにおける臨床試験の報告ではまだ満足な臨床結果が得られていないのが現状である。その一つの問題として適切な標的抗原の探索がある。固形がんにおけるERBB2に対するCAR-T療法では、正常肺への障害により死亡例が報告されており、より慎重な標的抗原の探索が求められている。本研究ではこのような背景を考慮し、正常細胞と腫瘍細胞における糖鎖修飾の違いに着目して、腫瘍細胞106レクチンXDAPIPIGRMergeMerge図13 蛍光免疫染色図14 腫瘍細胞株における共焦点レーザー顕微鏡解析レクチン X FITCPIGR Cy5

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