結 論謝 辞利益相反GTP/GDP 比を調節する可能性があるが、詳細は不明である。今後、その詳細を明らかにすることで、CerK/C1P が細胞内コレステロール輸送を調節するメカニズムが明らかになるであろう。 本研究により、CerK/C1P が NPC の発症に関与すること、CerK の阻害が NPC の治療標的となることが明らかになった。現在は、新規 CerK 阻害薬の開発を目指した研究を進めており、約 20 万種類の化合物ライブラリーから CerK に対して阻害活性を有する約 50 種類のヒット化合物を得ることに成功している。今後、さらにヒット化合物を絞り込み、構造最適化、非臨床試験を実施し、将来的には臨床試験に進めたいと考えている。 本研究を遂行するにあたり、研究助成を賜りました公益財団法人臨床薬理研究振興財団に心より感謝申し上げます。また、CerK -/- マウスをご供与いただきました五十嵐靖之先生(北海道大学)および NPC1-/- マウスをご供与いただきました道川誠先生(名古屋市立大学)に厚く御礼申し上げます。 本研究に関して開示すべき利益相反はありません。96本研究において、NPC1-/- マウスの CerK を遺伝的に欠損させると、IL-1βおよび IL-6 の mRNA レベルが減少すること(data not shown)、また、グリア細胞の活性化が抑制されることが明らかになった(図 5E)。従って、NPC1 -/- マウスでは C1P の産生亢進による 2 次的な遊離型コレステロールの蓄積によりグリア細胞が活性化し、プルキンエ細胞の脱落を誘発すると考えられる。 ミグルスタットはスフィンゴ糖脂質の蓄積を軽減することで神経脱落を抑制するが、遊離型コレステロールの蓄積を軽減することはできない。シクロデキストリンは遊離型コレステロールと複合体を形成し、コレステロールの輸送担体として機能すると考えられている。これまでに、NPC1 -/- マウスにおいて、シクロデキストリンの投与が遊離型コレステロールの蓄積を軽減し、治療効果を示すことが報告されている 13)。さらに、シクロデキストリンとミグルスタットの併用がさらなる治療効果を示すことが報告されている 14)。本研究において、NPC1-/- マウスの CerK を遺伝的に欠損させ、さらにミグルスタットを投与することにより、生存期間が顕著に延長することが示された(図 5H)。従って、遊離型コレステロールの蓄積を軽減する CerK の阻害と、ミグルスタットの併用は NPC の治療に有効であると考えられる。 本研究では、NPC1 -/- 細胞の CerK を阻害すると、Rab9 依存性の小胞輸送異常が改善され、遊離型コレステロールの蓄積が軽減することを明らかにした。Rab9 は活性型の GTP 結合型と、不活性型の GDP結 合 型 が 存 在 す る。C1P が Rab9 の 発 現 量 や
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