CerK の mRNA 量および細胞ホモジネートの CerK結 果で示した。得られたデータは unpaired two-tailed Student’s t-test または one-way ANOVA にて検定を行った。生存曲線は Kaplan-Meier 法を用いて作成し、log rank 法にて検定を行った。p < 0.05 の場合に、統計学的に有意な差があると判断した。NPC にける C1P 量の上昇 本研究では NPC のモデル細胞として、CHO 細胞の NPC1 を遺伝的に欠損した細胞(NPC1 -/-)およびNPC 患者に由来する皮膚線維芽細胞(NPC1*)を用いた。どちらの細胞も、正常対照細胞に比べて細胞内に遊離型コレステロールが蓄積していることをフィリピン染色により確認した(図 1A)。これら細胞に含まれる C1P 量を LC/MS/MS により測定したところ、NPC1 -/- 細胞および NPC1* 細胞ともに、正常対照細胞に比べて C1P 量が増加していた(図 1B、C)。また、NPC 患者および健康成人の血漿に含まれる C1P 量を測定したところ、健康成人に比べて NPC 患者の血漿では C1P 量が増加していた( 図 1D)。 次 に、 蛍 光 標 識 さ れ た セ ラ ミ ド(BODIPY-Cer)を細胞に添加して 2 時間インキュベートし、細胞内でセラミドから産生された C1P量を測定した。その結果、NPC1-/- 細胞および NPC1*細胞において、正常対照細胞に比べて BODIPY-C1Pの産生が促進され、この産生促進は CerK 阻害剤のNVP-231 によって抑制された(図 1E、F)。従って、NPC 細胞では CerK を介した C1P の産生が亢進していることが示唆された。NPC にける CerK とセラミドの細胞内局在活性を測定したところ、NPC 細胞と正常対照細胞の間で顕著な差は認められなかった(data not shown)。そこで、BODIPY-Cer と CerK の細胞内局在を共焦点レーザー顕微鏡にて観察した。CerK の細胞内局在は、蛍光蛋白質 mCherry を融合した CerK(CerK-mCherry)を一過性発現させて観察した。88フィリピンの蛍光を観察した。ニューロンは50μg/mL LDL を含むニューロン分化培地で培養し、4% PFAで固定した。100μg/mL フィリピンで 30 分間染色し、蛍光顕微鏡(Olympus IX83)にてフィリピンの蛍光を観察した。免疫染色 マウス脳の組織切片を透過処理(0.3% Triton X-100、2.5%goat serum で 30 分間インキュベート)し、1 次抗体を 1:200 で希釈して 1 晩、4℃でインキュベートした。2次抗体は1:500で希釈して1時間、室温でインキュベートした。染色像は、共焦点レーザー顕微鏡(Zeiss LSM780)にて観察した。BODIPY-Cer の細胞内局在の観察 細胞に 10μM BODIPY-Cer を添加して 30 分間、37℃でインキュベート後、HBSS で細胞を wash し、さらに 2 時間 37℃でインキュベートした。4% PFAで細胞を固定し、染色像を共焦点レーザー顕微鏡(Zeiss LSM780)にて観察した。BODIPY-C1P の測定 12 well plate で培養した細胞に 10μM BODIPY-Cer を添加して 2 時間、37℃でインキュベートした。細胞を well から剥がし、上清も含めて Bligh and Dyer 法 に て 脂 質 を 抽 出 し た。 全 脂 質 を Silica Gel60 TLC plate にスポットし、展開した(1-butanol : acetic acid : water = 3:1:1)。BODIPY の蛍光画像を Fujifilm LAS4000 にて取得した。スフィンゴ脂質の定量 C1P を含むスフィンゴ脂質の定量は高速液体クロマトグラフ質量分析装置 LC/MS/MS(AB SCIEX 5500 QTrap)を用いた。定量は Virginia Commonwealth University Lipidomics/Metabolomics Core に委託した。統計解析 実験結果は平均値(mean)±標準誤差(SEM)
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