臨床薬理の進歩 No.42
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6543987 1110987654とても満足(n=3, 11.5%)やや不満足(n=5, 19.2%)どちらでもない(n=11, 42.3%)*とても不満足と回答した被験者はみられなかった。BaselineWeek 3Week 12RMDQ score(n=24)考  察やや満足(n=7, 26.9%)BaselineWeek 3主観的疼痛強度NRS (n=24)TAUOLP+TAUからの統計学的有意なアウトカム指標の変化が認められたものの、両群間に統計学的有意な群間差は認められなかった。これらの結果は、慢性腰痛患者に対するOLPの効果は介入方法の違いによって説明されるか、あるいは人種や文化によって異なる可能性があることを示唆している。 最近、健康成人を対象とした生理学的に研究において、OLP介入を受けた対象者では負の情動刺激に対する脳内の不快関連電位が減少することが報告されており10)、プラセボと認識していたとしても、脳内では不快情動が減弱されうることが推察される。 慢性腰痛患者に対するOLPの効果を報告した2つの研究がある3,4)。主観的疼痛強度NRSを0-10の疼痛尺度で調整した後の疼痛強度の変化について、OLP+TAU群におけるベースラインから3週経過後の疼痛軽減の程度[平均値±SE]は、Carvalhoらの研究3)でΔ1.5±0.3、Kleine-Borgmannらの研究4)でΔ0.6±0.2であった。一方、本研究ではOLP+TAU群では3週目にはΔ0.9±0.4の疼痛軽減が観察されおり、これは過去の2つの研究の中間値を示している。従って本研究におけるOLP介入が、過去の2研究と比較して疼痛軽減に影響しなかったとは言い切れない。8.57.5[sec]9.5Week 12BaselineWeek 3Week 12TUG Time(n=24)図3 各アウトカムの推移(平均値)統計解析は、反復2元配置分散分析およびボンフェローニ法によるPost hoc分析。 *p<0.05、**p<0.01 vs baseline.略語:RMDQ, Roland–Morris disability quesHonnaire. NRS, Numerical raHng scale. TUG, Timed-up-and-go.図4 OLP+TAU群における主観的治療満足度満足”以上の治療満足度を示した(図4)。 本研究では、これまでの報告と同様の有効性を前提とした仮説のもと、日本人の慢性腰痛患者に対してOLP+TAUが有用な治療法となりうるかどうかについて検討した。その結果、OLP+TAU群とTAU群ともに、12週の介入にて初診時68

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