臨床薬理の進歩 No.42
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方  法を生じにくくしながら、G47Δと同様の能力を持つように改良されたウイルス: T-01 8,9)を基礎骨格として、T-01のICP6遺伝子欠失部位に直接免疫刺激遺伝子(マウスIL-12、可溶型マウスB7-1)を挿入したものである10)。G47ΔおよびT-01のウイルス複製に伴う抗腫瘍効果に、IL-12や可溶型B7-1などの強力な抗腫瘍免疫作用を加えた。培養細胞株 ヒト肝細胞癌培養細胞株(HuH-7およびPLC/PRF/5)、マウス肝癌培養細胞株(Hepa1-6)およびAfrican green monkey kidney培養細胞株(Vero)を Japanese Collection of Research Bioresources(日本)より購入し、10% fetal bovine serum(以下FBS、GIBCO、USA)、100 U/mL ペニシリンおよび100 μg/mL ストレプトマイシン(Life Technologies、USA)を添加したDulbecco's Modified Eagle Medium培地にて37 ℃で培養した。実験動物 本研究におけるin vivo実験は、日本エスエルシー(株)より購入したC57BL/6マウス(5週齢、雄性)ならびにBALB/cヌードマウス(5週齢、雄性)を使用した。購入したマウスは、固形飼料および水を自由に摂取させ、1週間馴化させた。動物実験関連法令、指針(研究機関等における動物実験などの実施に関する基本指針:文部科学省告示第71号)、学会等のガイドライン、関西医科大学動物実験規定を遵守した。培養細胞株におけるウイルスの細胞障害性の検討 6穴プレートに2.0×105 cells/wellの培養細胞を播種し、ウイルスの希釈液(MOI: 0.1および0.01)で培養細胞に感染させた。1時間の初期感染を行い、ウイルス液を除去して培地を加えて培養した。感染1〜4日目に、残存した培養細胞の数をカウントした。培養細胞上でのウイルス複製能の検討 6穴プレートに5.0×105 cells/wellの培養細胞を播種し、1%FBSを添加したD-PBSで各種培養細胞株を洗浄後、1時間のウイルス希釈液(MOI: 0.01)による初期感染を行い、ウイルス希釈液を除去して培地を加えた。48時間の培養後、ウイルスの感染した細胞および上清を採取した。回収されたウイルスに対し、プラーク法を用いてタイターを測定した。皮下移植腫瘍モデルにおけるウイルスの抗腫瘍 効果の検討 C57BL/6マウスに対してマウス肝癌株Hepa1-6(5×106個)を両側側腹部に、BALB/cヌードマウスに対してヒト肝細胞癌株HuH-7(5×106個)を左側側腹部に皮下移植した。皮下腫瘍を目視確認後(腫瘍径0.5 cm)、T-01、T-B7-1およびT-mIL12(2×105 pfu/回)を0および3日目に左側腫瘍内に投与し、投与後28日間の腫瘍(投与側と非投与側)の体積変化(0.5×長径×短径2)を確認した。腫瘍径が2 cmを超えた場合や、腫瘍の潰瘍化・壊死や歩行・摂水・摂餌障害が生じた場合を人道的エンドポイントとした。Rechallenge assay Hepa1-6による同種両側側腹部皮下移植腫瘍モデルマウスにおいて、ウイルスの抗腫瘍効果の検討によって皮下腫瘍が退行したC57BL/6マウスと年齢をマッチさせた無治療の同種マウスに対して、Hepa1-6(5×106個)を背部皮下に移植して腫瘍の増殖を30日間観察した。統計解析 実験結果は平均値(mean)± 標準誤差(SEM)で示した。得られたデータは、unpaired t-testを用いて検定を行った。Rechallenge assayではFisher検定を用いた。p < 0.05の場合に、統計学的有意な差があると判断した。統計ソフト IBM SPSS Statistics 22(日本アイ・ビー・エム(株))を使用した。13

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