臨床薬理の進歩 No.42
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USUL×α47α47遺伝子:欠乏により⑴宿主細胞のMHC ClassⅠ発現×××TRLIRLIRSTRSγ34.5γ34.5遺伝子:宿主細胞がウイルス感染に呼応して蛋白合成を遮断する反応を抑制する。リン酸化PKRに拮抗する。原発巣ウイルスを腫瘍へ投与ICP6遺伝子:リボヌクレオチド還元酵素の大サブユニット。非分裂細胞でのDNA合成に必須。ICP6γ34.5転移巣(肺など)直接効果⑵γ34.5欠乏HSV-1の複製能がが温存される。腫瘍細胞で改善がん細胞を次々に破壊周囲へのウイルス拡散がん細胞ウイルスウイルス感染増殖図1 G47Δの抗腫瘍効果の概念図2 G47Δの三重変異するため、免疫による抗腫瘍効果の増強する特徴がある(図2)。G47Δを用いたウイルス療法は、2009年から東京大学においてFirst-in-man試験が開始され、様々ながん種に対する臨床研究3)や開発研究4〜6)が進められている。また2016年度厚生労働省の先駆け審査指定制度の対象品目に指定された。G47Δを用いた第I-Ⅱa相臨床試験は、2009 年より5年間再発膠芽腫を対象とし、定位的脳手術により2週間以内に2回の腫瘍内投与が行われた。脳腫瘍内投与の安全性が確認され、効果を示唆する所見も複数例で観察された7)。 本研究では、G47Δの次世代のがん特異的増幅型ベクター開発を目的とし、増殖性「武装化」遺伝子組換えHSV-1: T-mfIL12ならびにT-B7-1の、肝細胞癌に対する抗腫瘍効果の検討を行った。加えて、ウイルス療法と分子標的薬sorafenibとの併用効果を検討した。T-mfIL12およびT-B7-1は、BAC(bacterial artificial chromosome)プラスミドと2つのrecombinase系を利用してG47ΔのICP6遺伝子を不活性化から欠失変異させることで、ICP6のreversion抗腫瘍免疫12

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