臨床薬理の進歩 No.42
177/228

llhtworG**l *AB*BeCevitaeR結  果正常ヒトおよびIPAH患者由来PASMCsの増殖率 正常ヒトおよびIPAH患者由来PASMCsの増殖率をMTT法によってアッセイした。正常ヒトPASMCsの増殖率と比較して、IPAH患者由来PASMCsの播種後24 hrにおける細胞増殖率は有意に高かった(図2)。また、IPAH患者由来PASMCsの播種後48 hrにおける細胞増殖率も、正常ヒトPASMCsの増殖率よりも有意に高かった。図2 正常ヒトおよびIPAH患者由来PASMCsの増殖率正常ヒトおよびIPAH患者由来PASMCsの増殖率を比較解析した。各時間における細胞数は、0 hrの細胞数で規格化した。データは、各3例の平均値±標準誤差(mean±S.E.)で示した。有意差検定には、Student’s t検定を用いた(*p<0.05 vs. normal)。図3 IPAH患者由来PASMCsの増殖におけるCl-チャネル阻害薬の効果IPAH患者由来PASMCsの増殖に対するCl-チャネル阻害薬の効果を解析した。Cl-チャネル阻害薬は、48 hr曝露した。A:IPAH患者由来PASMCsの増殖に対する各種Cl-チャネル阻害薬の効果。各薬物群における細胞数は、溶媒対照群の細胞数で規格化した。データは、各5例の平均値±標準誤差(mean±S.E.)で示した。有意差検定には、Student’sのt検定を用いた(*p<0.05 vs. vehicle)。B:IPAH患者由来PASMCsの増殖に対するNFAの濃度依存的な抑制効果。IC50値は、186 μMだった。各濃度における細胞数は、溶媒対照群の細胞数で規格化した。データは、各3例の平均値±標準誤差(mean±S.E.)で示した。以上の結果は、以前の報告と一致していた5)。IPAH患者由来PASMCsの増殖におけるCl-チャネル阻害薬の効果 IPAH患者由来PASMCsの過剰な増殖に対するCl-チャネル阻害薬の効果をMTT法で検討した。IPAH患者由来PASMCsの増殖は、100 μMおよび300 μM niflumic acid(NFA)によって、濃度依存的に減少した(図3A)。一方、他のCl-チャネル阻害薬である100 μM 4,4’-diisothiocyanatostilbene-2,2’ -disulfonic acid(DIDS)や100 μM 9-anthracenecarboxylic acid(9-AC)は、IPAH患者由来PASMCsの増殖を抑制しなかった。Ca2+活性化Cl-チャネル阻害薬である10 μM T16Ainh-A01も細胞増殖に影響を与えなかった。さらに、IPAH患者由来PASMCsの過剰な増殖に対するNFA抑制作用の濃度依存性について解析した。その細胞増殖は、1〜1000 μM NFAAによって濃度依存的に抑制された(図3B)。IPAH患者由来PASMCsの増殖に対するNFAの50%抑制濃度(IC50値)は、186 μMだった。以上の結果より、PAHリモデリングの原因であるPASMCsの異常な増殖には、NFA感受性のCl-チャネルが関与することが示唆された。163

元のページ  ../index.html#177

このブックを見る