臨床薬理の進歩 No.42
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p < 0.001p < 0.001度)濃度濃ブニチルメシオ)gk/gm/Lm/gn(0557ZA+4015ZA(物謝代)gk/gm/Lm/gn(T,CT, TCA0B534C6321C1C0534C6321TC1CC-3C-3T553344T-3T-3TT6632132T553344T-3T-3TT6633221考  察関連遺伝子多型との関連を検討した。4症例から得られた全ての血清中濃度の測定検体の採取時間として最も多かったオシメルチニブ服用開始2時間後の血清中濃度を、1236CC-3435CC(症例1)と1236TT-3435TTおよび1236TT-3435CT(症例2および4)に分けて、オシメルチニブ未変化体および代謝物 (AZ5104+AZ7550)の血清中濃度(ng/mL/mg/kg)を比較したところ、1236CC-3435CCの症例で血清中濃度が、有意に高かった(p < 0.001)(図2A、B)。 既報の第Ⅰ/Ⅱ相試験において、白人とアジア人からなる合計780人の母集団薬物動態解析によるパラメータとして、ka=0.24 /h、Vd=986 L、CL=14.2 L/hと報告され、CLに影響を与える共変量の因子として体重が関係することが示された2)。また、インタビューフォームによるとオシメルチニブ80 mg投与の場合、日本人における定常状態の最高血漿中濃度は390.9 ± 166.4 ng/mLである7)。更に第Ⅰ相試験において、重度腎機能障害患者と腎機能正常患者との薬物動態を比較したところ、腎機能の指標であるクレアチニンクリアランスと薬物曝露量との相関は無く、重度腎機能障害患者においても図2 オシメルチニブ服用2時間後の血清中濃度とABCB1のC1236TおよびC3435T遺伝多型との関連各症例のオシメルチニブ血清中濃度を体重当たりの投与量で補正した。箱ひげ図の上端と下端はそれぞれ、75パーセンタイルと25パーセンタイルであり、中央のバーは中央値を示す。図中○は各症例での初回投与時の薬物濃度を示す。群間の比較にはMann-Whitney U Testを用いた。オシメルチニブの投与量の調整は必要ないとされている。しかし、腎機能正常患者と比較して、重度腎機能障害患者では平均薬物曝露量が約2倍となっており、腎機能の違いがあっても同様な薬物動態推移をするとは必ずしも言えないために、重症腎機能障害患者や慢性腎不全の患者では、血清中濃度の上昇を考慮する必要性が考えられる8)。第Ⅰ/Ⅱ相試験以外の臨床研究による日本人でのオシメルチニブの体内動態解析は未だ報告されていない。本結果での4症例において、平均ka=0.6 ± 0.4 /h、平均Vd/F=1525.0 ± 772.7 L、平均CL/F=16.6 ± 4.8 L/hであり、妥当なパラメータを示した。体内動態解析には含めなかったが、AZ5104およびAZ7550はいずれも活性代謝物であり、定常状態においてAZ5104およびAZ7550の曝露量はオシメルチニブの曝露量の約10%であり7)、オシメルチニブ未変化体および代謝物のAZ5104およびAZ7550の平均血清中濃度は適切な薬物濃度推移を示した。 安全性については、表1の有害反応の他にも、Grade 1のそう痒感、ざ瘡様皮疹、皮膚乾燥、咳嗽、貧血、血小板減少および白血球減少などが確認されたが、それらによる治療薬の中止、変更は必要としなかった。症例1および2においては、オシメルチニブ服用前にEGFR-TKIのアファチニブを服用0.30.250.20.150.10.050.030.0250.020.0150.010.005138

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