臨床薬理の進歩 No.42
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結  論謝  辞利益相反 最後に本研究のLimitationとして、3つ挙げられる。①1例の解析であり、偶然の値を示した可能性は否定できない。今後症例数を増やした解析が必要となる。②既存の検体を用いたPK解析のため、実地診療で検査を行わないピーク時の検体を採取できなかった。今後は、PK解析にピーク値を含めることが望ましいため、研究計画を整備する必要がある。③中圧式VPシャントから脳室内投与を行った薬剤が腹腔内に流出することで、PKパラメータが低く見積もられた可能性がある。今後、臨床的にVP-16脳室内投与が必要な症例を蓄積してPK解析を行うことで、内的妥当性を確保し、より正確な概念実証と臨床試験の実現に繋げることができると思われる。 VP-16髄液中濃度測定系の確立を行い、3歳AT/RT再発例のVP-16脳室内投与時のVP-16髄液中PK解析を実施し、既報と同様の結果を示した。また、臨床的にも効果が示唆された。将来的に小児髄膜播種再発例に対するVP-16脳室内投与の臨床試験を実施するために、症例蓄積による概念実証を行っていく。 本研究を行うにあたり研究費を助成いただきました臨床薬理研究振興財団に深謝致します。本研究にご協力いただきました、東京都立小児総合医療センター 薬剤部 諏訪 淳一先生、鮎田 利恵先生、測定系の確立、髄液中濃度測定を行っていただいた、株式会社 住化分析センターの方々に感謝の意を表します。 開示すべき利益相反はない。132

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