臨床薬理の進歩 No.42
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)C g/gμ2(-nilriacopL:MeanTreatment発症後average治癒後(Positive control)図4 SJS/TENおよびSJS/TEN以外の薬疹型、類縁疾患患者尿中lipocalin-2濃度尿中lipocalin-2濃度をクレアチニン補正して表示している。敗血症患者をpositive controlとして測定。MPE, 播種状紅斑丘疹型薬疹 (n = 4); EMM, EM major (n = 2); DRESS/DIHS, 薬剤性過敏症症候群 (n = 2); SJS/TEN (n = 7); 自己免疫性水疱症 (n = 2); PG, 壊疽性膿皮症 (n = 2); 敗血症 (n = 3).average図5 SJS/TEN発症患者末梢血好中球数の発症前後末梢血好中球数との比較SJS/TEN発症患者のうち、発症前後の健常時の末梢血好中球数の記録が残っている患者について、発症前後の好中球数の平均をとって該当患者の末梢血好中球のベースラインとした。このベースラインとSJS/TEN発症時の末梢血好中球数を比較した。を招くため、次に尿中LCN-2の測定を行った。LCN-2は好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン(NGAL)とも呼ばれ、尿中NGALの測定は急性腎障害の診断で保険収載されている。そのため、positive controlとして急性腎障害を伴う敗血症患者尿を用い、LCN-2が高値を示すことを確認した。 SJS/TEN症例は現在7例とまだ少ないが、MPE、EMM、DRESS/DIHS、自己免疫性水疱症、PGといった患者より尿中LCN-2濃度は上昇しており、また血清LCN-2のように低値群が存在しなかった(図4)。カットオフ値を100 μg/g Crとした尿中lipocalin-2測定はStevens-Johnson症候群、中毒性表皮壊死症の早期診断バイオマーカーとなりうるSJS/TEN発症前発症直前場合の感度・特異度は共に100%となる。3. 末梢血CD8 Tリンパ球のLCN-2発現、好中球のNETs形成・LL-37発現解析がSJS/TENの早期診断法になりうるか? 1. 2.の研究により尿中LCN-2濃度測定がSJS/TENの早期診断バイオマーカーとなる可能性を確認できたため、これらの項目については積極的には解析を行わなかった。予備実験にて、末梢血CD8 T細胞のLCN-2産生を抗LCN-2抗体を用いて、flow cytometryにて検出することを試みたが、105105

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