臨床薬理の進歩 No.42
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)Lm/gn7(3-LL結  果されているELISAキットにて測定した。統計解析 Kruskal-Wallis testを用い、p<0.05を有意とした。1. SJS/TEN早期診断マーカーとして、血清中LCN-2、LL-37濃度測定は有用か?血清LCN-2 血清LCN-2は発症3日までの早期SJS/TEN患者で上昇した。これに対し、ステロイドを主とする治療を開始することで速やかに減少した(図1)。健常者、MPE(播種状紅斑丘疹型薬疹:通常薬疹の1つ)、EMM(EM major:通常薬疹に軽微な粘膜症状を伴う薬疹型)、FDE(固定薬疹)、AGEP(発熱と共に全身に紅斑・無菌性膿疱を伴う重症薬疹)、DRESS/DIHS(薬剤性アレルギーとHHV-6を主とするウイルス再活性化を特徴とする重症薬疹)では図2 SJS/TENおよびSJS/TEN以外の薬疹型患者血清LL-37濃度Healthy, 健康成人 (n = 16); MPE, 播種状紅斑丘疹型薬疹 (n = 32); EMM, EM major (n = 15); FDE, 固定薬疹 (n = 8); AGEP, 急性汎発性発疹性膿疱症 (n = 7); DRESS/DIHS, 薬剤性過敏症症候群 (n = 19); SJS/TEN: before treatment (n = 29), 2-4 days following initiation of treatment (n = 18), 5-7 days following initiation of treatment (n = 19), 8-10 days following initiation of treatment (n = 6), and more than 11 days (n = 10) after initiation of treatment. **p < 0.01 compared to healthy volunteer (Kruskal-Wallis test).尿中lipocalin-2測定はStevens-Johnson症候群、中毒性表皮壊死症の早期診断バイオマーカーとなりうる血清LCN-2の上昇は認められなかった(図1)。つまり、血清LCN-2上昇は薬疹型のなかでSJS/TENに特徴的といえる。 さらに、SJS/TENのように水疱形成を伴う自己免疫性水疱症である、PV(尋常性天疱瘡)、BP(水疱性類天疱瘡)、MMP(粘膜類天疱瘡)、EBA(後天性表皮水疱症)においても、血清LCN-2の上昇は認められなかった(図1)。 Pso(尋常性乾癬)、GPP(膿疱性乾癬)、PG(壊疽性膿皮症)といった病態に好中球が関与する疾患のなかでは、GPPのみに血清LCN-2が上昇する傾向が認められた(図1)。これは、GPPの病態形成にもLCN-2が関与する可能性を示唆する。 GVHD(移植片対宿主病)やSLE(全身性エリテマトーデス)といった炎症性疾患でも血清LCN-2上昇は確認できなかった(図1)。 これらの結果から、血清LCN-2上昇は薬疹型のなかでSJS/TENに特異的であることが明らかとなった。GPPにおいても血清LCN-2が上昇する傾向を認めたが、臨床的にSJS/TENとGPPは明らかに鑑別されるため問題にならないと考える。103103:Mean

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