臨床薬理の進歩 No.41
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方  法速く、虹彩が正常な患者でCEnC減少が遅いことを報告した8)。しかし、CEnC減少の生物学的機序はまだわかっていないが、これらのことは患者の虹彩の状態によって、角膜移植後のCEnCの運命はある程度、術前から決まっていることを示唆する。ではなぜ、虹彩萎縮がCEnC減少と関連するのか? その生物学的プロセスはいまだわかっていない。解剖学的に、前房水が虹彩とCEnCの間に存在する。そこで、我々は虹彩萎縮で前房水環境が病的に変化し、CEnCの減少が減少するとの仮説のもと、水疱性角膜症患者からのCEnCおよび前房水サンプルの提供を受け、多層オミクス解析を用いて、虹彩萎縮がもたらす生物学的プロセスを特定する研究を行った。対象 2015年10月から2018年3月までに東京歯科大学市川総合病院にて角膜移植あるいは白内障手術(対照群)を受け、研究への同意が得られた患者を対象とした。研究はヘルシンキ宣言に従い行われ、東京歯科大学市川総合病院の倫理審査会の承認を受けた(I15-42R, I15-44, I17-78)。電子顕微鏡 角膜組織の電子顕微鏡は2.5%グルタールアルデヒドを用いて4 ℃で12時間固定したのちに0.1 Mリン酸緩衝液(PB, pH 7.4, 武藤科学)で洗い、4 ℃で1%酸化オスミウム(OsO4, TAAB Laboratories Equipment Ltd) を用い4 ºCで固定し、100%エタノールを用いて脱水処理を行った9)。その後に透過電子顕微鏡および走査電子顕微鏡のために組織切片を作成した。透過電子顕微鏡には脱水処理後の角膜をアセトン(Sigma)とブチルグリシジルエーテル(QY1, 応研商事)で固定し、観察用エポンとEPOK-812とドデセニル琥珀酸無水物(DDSA)および2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(DMP-30)に包埋し、ウルトラマイクロトーム (Leica UC7, Leica Biosystems)で70 nm厚に切片を作製し、透過顕微鏡(JEM-1400plus, JEOL, Tokyo, Japan)で観察した。走査電子顕微鏡には角膜組織を100%ブタノール(VFD-21S, Vacuum device)で凍結乾燥させアルミニウム台に置き90秒6 mAの条件でプラチナとパラジウムコートし(SC-701, Sanyu Electron Co., Ltd)、走査電子顕微鏡(SU6600, Hitachi High Tech)で観察した。 プロテオーム解析 角膜移植または白内障手術時に採取した前房水15サンプルを用いた。前房水は3000 g 3分で遠心分離し上清のみを−80 ℃で測定まで保管した。MARS Hu-14 column(Agilent)を用いて主要タンパク質を除去し5 μLトリプシン(Thermo Fisher Scientific)処理を37℃で6時間行った。そして、sodium deoxycholate and sodium N-lauroylsarcosinateを除去し質量分析計(Orbitrap Fusion Lumos質量分析計, ThermoFisher Scientific)で解析した。タンパク質の同定にはProteome Discoverer 2.2 software (ThermoFisher Scientific)を用いてFalse Discovary Ratio(FDR)<0.01基準のフィルターし、SwissProt(https://www.nextprot.org/)のHomo sapiensタンパク質データベースを用いた。定量されたタンパク質はDAVID (https://david.ncifcrf.gov/tools.jsp)とSTRING(https://string-db.org/)を用いてGO解析を行った。トランスクリプトーム解析 水疱性角膜症のCEnCは角膜移植時に剥離したデスメ膜を採取した。正常眼のCEnCは正常アイバンク眼(SightLife, Seattle, WA, USA)のものを用いた。剥離したデスメ膜をすぐにTRIzol (15596-026, ThermoFisher Scientific)に入れて、 −80 ℃で測定まで保存した。miRNeasy Micro Kit (Qiagen, Valencia, CA, USA)を用いてRNAを抽出し、Nanodrop(ThermoFisher Scientific)とBioanalyzer RNA 6000 pico chip(Agilent)を用いてRNA品質を検証し、RNA integrity number(RIN)値が6以上68

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