臨床薬理の進歩 No.41
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合割娩分表2 治療開始後2週間の胎児発育速度・体重増加率治療開始後2週間胎児発育速度(g/day)治療開始後2週間胎児推定体重増加率(%)mean ± SD。対応のないt検定。図2 妊娠継続期間(日)全症例では有意差を認めなかったが、登録時の妊娠週数別に評価すると、<32週、<30週で有意差を認めた。一般化Wilcoxon検定。1.00.90.80.70.60.50.40.30.20.10.00102030405060708090100110All casesAll casesP=0.07従来型治療群1.00.90.80.70.60.50.40.30.20.10.00102030405060708090100110妊娠継続期間(日)GA<32 weeksP=0.03タダラフィル治療群1.00.90.80.70.60.50.40.30.20.10.00102030405060708090100110GA<30 weeksP=0.04P値0.0450.01については頭痛や顔面紅潮は多かったが、タダラフィルと因果関係のある重篤な有害事象は認めなかった。2)治療効果 主要評価項目である症例登録時から出生までの胎児発育速度(g/日)は、従来型治療群11.9 g/日、タダラフィル治療群13.3 g/日と両群間で有意差を認めなかった(P=0.43)。しかし、治療開始後2週間の胎児発育速度(g/日)は、従来型治療群14.3±8.6 g/日、タダラフィル治療群19.1±9.5 g/日と、従来型治療群に比べ、タダラフィル治療群で有意に増加していた(表2、P=0.045)。また、登録時の妊娠週数が30週未満、32週未満の症例において、妊娠継続期間を事後解析したところ、30週未満では、従来型治療群37.0±30.5日、タダラフィル治療群55.0±30.4日と、タダラフィル治療群で、有意な妊娠延長効果を認め(P=0.04)、32週未満も同様、従来型治療群36.8±26.8日、タダラフィル治療群52.4±28.9日と、タダラフィル治療群で、有意な胎児発育不全に対するタダラフィル投与による新規治療法の確立タダラフィル治療群(n=40)従来型治療群(n=39)19.1±9.52.5±1.1妊娠延長効果を認めた(図2、P=0.03)。また、有意差を認めなかったものの、タダラフィル治療群でHDPの発症が少なかった。基礎研究 NO合成酵素阻害剤L-NAME母獣投与によるFGRモデルマウスを用いて、タダラフィル治療の仔の神経学的長期予後に及ぼす影響を評価した17)。1)タダラフィル投与の母獣、胎盤の検討妊娠13日目の時点で、L-NAME投与により母獣の血圧はコントロール群よりも有意に血圧が上昇したが、妊娠16日目では、L-NAME投与群では有意な血圧上昇が持続していたが、L-NAME+タダラフィル投与群では、コントロール群と同程度まで血圧は低下した(コントロール群; 106.8±7.9 mmHg, L-NAME投与群; 123.7±3.6 mmHg, L-NAME +タダラフィル群; 114.2±4.6 mmHg)。妊娠16日目の尿蛋白は、コントロール群と比較し、L-NAME投与群で有意に増加を認めたが、L-NAME+タダ14.3±8.61.8±1.055

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