臨床薬理の進歩 No.41
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B000000010001P000000020012D003000010016B000000000000P000000000010D000000000030B000001000000P000002000010D003001000000B000001010000P000001000011D013000000021B000000010001P000000010011D003000000021表2 自覚症状の出現時期と程度プラセボTSO1000TSO2500TSO7500PID:post-ingestion days(内服後日数)自覚症状に関するアンケート調査の結果。Dは下痢回数、Pは腹痛の程度、Bは腹部膨満感の程度を表す。項目D内の数字は、受診間に見られた1日あたりの最多下痢回数を表す。項目PとB内の数字は以下を表す。1:自制内の腹痛/膨満感、2:日常生活に支障が生じる腹痛/膨満感、3:日常生活が困難な腹痛/膨満感。表3 TSO製剤による有害事象と診断された症例の詳細No.12PID:post-ingestion days(内服後日数)内服前No.1No.5No.9No.2 No.3No.4No.6No.7No.8No.10No.11No.12症例内服TSO用量(虫卵数)年齢(歳)No.4100038No.7250027750026PID 7最大好酸球数(/µL)PID 3:腹部膨満感を自覚。PID 7:食欲低下を自覚。PID 12:腹痛、3回の水様便の後に症状軽快。100PID 34: 食事後に突然の腹痛を自覚。以降、間欠的腹痛としぶり腹、食欲低下1900を自覚。PID 51:3回の下痢を認め、以降症状は改善。PID 56:介入前と比べ-4 kgの体重減少。PID 42:下腹部痛と軟便が出現。PID 49: 体温37.0 ℃、粘血便を認め受診。便培養陰性。便検鏡で粘血便あり、700寄生虫卵なし。スコポラミンを屯用で内服。PID 52:症状軽快。PID 14症状PID 28PID 56球数の上昇を認めた例を好酸球増多と定義すると、好酸球数増多はTSO製剤内服28日以降に生じる傾向が見られた。またTSO 2500群、TSO 7500群の好酸球増多例では、TSO製剤内服後56日目に好酸球数が最大となった。経過観察中に自覚症状を認めた2例は好酸球数の上昇を伴ったが、自覚症状を伴わない好酸球増多症例を3例認めた。各群の好酸球推移を図2にまとめた。 豚の場合、豚鞭虫の多重感染は貧血の原因となるが、ヒトではこれまでTSO内服に由来する貧血の報告はない。本試験ではTSO 1000群の1例と、TSO 7500群の1例に、赤血球数、ヘモグロビン値、およびヘマトクリット値の低下を認めた。いずれも、内服56日後の血液検査結果が最も低値であり、ヘモグロビン値は介入前と比較して、それぞれ1.8 g/dLと1.2 g/dLの低下が見られた。結果的にヘモグロビン値が、13 g/dL未満となる症例はなく、貧血による症状の訴えも認めなかった。 本試験では、予定していたすべての糞便検体を回収した。また全検体は、検査担当者と、委託検査会社の双方による検鏡が実施された。その結果、介入前の糞便検体を含め、いずれの検体でも寄生虫卵を認めなかった。 TSO内服後の自覚症状の程度と頻度について、36

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