臨床薬理の進歩 No.41
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結論と今後の展望謝  辞の発現を増加させ、他のある要因がアデノシンA2A受容体の発現を減少させた可能性がある。現時点で、どのようなパーキンソン病患者にistradefyllineがより有効であるのか不明瞭である。しかしながら、istradefyllineがアデノシンA2A受容体拮抗薬であることを考慮すると、少なくともアデノシンA2A受容体の発現がより増加しているパーキンソン病患者により効果的ではないかと推測する。 Istradefyllineが用量依存性にアデノシンA2A受容体に結合することを示した。用量-受容体占拠率曲線から、パーキンソン病における最大受容体占拠率とED50は、腹側線条体:93.5%と28.6 mg、尾状核:69.5%と10.8 mg、被殻:66.8%と14.8 mgであった。したがって、istradefylline 20 mgまたは40 mgの内服で十分なアデノシンA2A受容体の占拠率が得られることが示された。 同時に、本研究ではパーキンソン病患者の間で、線条体のアデノシンA2A受容体の発現量に大きなばらつきがあることが示された。Istradefyllineの臨床効果が患者間で大きく異なる傾向があることを考慮すると、興味深い所見である。つまり、istradefyllineの臨床効果にはアデノシンA2A受容体の発現量が関連する可能性がある。今後、どのようなパーキンソン病患者でistradefyllineが有効であるのかについて、11C-preladenant PETを用いて検討していきたい。 本研究成果は国際学術誌において公表済である7)。 本研究の遂行にあたり、研究費の助成を頂きました公益財団法人臨床薬理研究振興財団に深く感謝いたします。22

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