臨床薬理の進歩 No.41
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変異を核酸シーケンス解析によって確認した。MICの測定はCLSI(Clinical Laboratory Standard Institute)で推奨されている5% OADC enrichment(Becton, Dickinson and Company)を添加したCation Adjusted Mueller Hinton Broth(以下、CAMHB)(Becton, Dickinson and Company)を用いた微量液体希釈法に準拠して実施した。 次いで、BDQと他剤との併用効果を評価するためチェッカーボードMICプレートを作成した。2段階に希釈したBDQと組み合わせる他の薬剤をCAMHB中にそれぞれ50 μLずつ混合し、計100 μLずつを96ウェル平底プレートに分注した。また、5% OADCを添加したMiddlebrook7H9液体培地(Becton, Dickinson and Company)内で対数増殖期達した菌液を更に5% OADCを添加したCAMHBに植え継ぎ、数日培養したのち調整菌液(1×105 Colony Forming Unit)を作成した。混合薬剤を分注したチェッカーボードMICプレート上に調整菌液を接種してプレートシールで密閉し、37 ℃で2週間静置培養を行った。培養開始から2週間後、各ウェル内の発育の有無をマイクロプレートリーディングミラー(極東製薬)にて確認しMICを測定した。 併用に用いる薬剤には、NTM症あるいはハンセン病や結核に対して使用成績のある12剤を選択した。薬剤は以下の通りである。マクロライド系抗菌薬;クラリスロマイシン(CAM)、アジスロマイシン(AZM:Sigma-Aldrich)、エリスロマイシン(EM:Wako)、アミノグリコシド系抗菌薬;アミカシン(AMK:Wako)、色素系抗菌薬(ハンセン病治療薬);クロファジミン(CLF:Sigma-Aldrich)、オキサゾリジノン系抗菌薬;テジゾリド(TZD)、リネゾリド(LZD)、グリシルサイクリン系抗菌薬;チゲサイクリン(TGC:Wako)、テトラサイクリン系抗菌薬;ドキシサイクリン(DOXY:Wako)、ミノサイクリン(MINO:Wako)、フルオロキノロン系抗菌薬;レボフロキサシン(LVFX)、シタフロキサシン(STFX)。 キードラッグとするBDQの測定濃度範囲は1 μg/mLから11段階希釈(0.00098〜1 μg/mL)とし、ベダキリンを含む肺MAC症多剤併用療法確立への検討また、その他の各薬剤の希釈濃度は以下の通りとした。CAM:0.25〜16 μg/mL、AZM:0.25〜16 μg/mL、EM:0.25〜16 μg/mL、AMK:0.5〜32 μg/mL、CLF:0.0078〜0.5 μg/mL、TZD:0.25〜16 μg/mL、LZD:0.25〜16 μg/mL、TGC:0.125〜8 μg/mL、DOXY:0.5〜32 μg/mL、MINO:1〜64 μg/mL、、LVFX:0.0625〜4 μg/mL、STFX:0.0625〜4 μg/mL。 測定したチェッカーボードMICの結果から定法に従ってfractional inhibitory concentration(FIC)indexを算出した。また、算出されたFIC indexについては≦0.5相乗効果(Synergistic)、0.5〜4を不関(No interaction)、4<を拮抗作用(Antagonistic)として判定した10)。In vitro MICによる有効性評価の結果 BDQ単剤MIC測定結果とin vitroチェッカーボードMICによる測定結果ならびに算出されたFIC indexを表1に示す。 CAM耐性M. avium臨床分離株9菌株のBDQ単剤に対するMICは0.002〜0.625 μg/mLであった。チェッカーボード式MICについて、臨床分離株9株の平均値からは相乗効果あるいは拮抗作用を示す組み合わせは見出されなかった。一方で、用いた株の中にはBDQとの相乗効果を示したものがCAMとの併用時に1株(Strain 3;FIC index =0.375)、DOXYとの併用時に1株(Strain 6;FIC index=0.363)、AMKとの併用時に3株(Strain 6,7,8;FIC index=0.15, 0.25, 0.06)、TZDとの併用時に1株(Strain 4;FIC index=0.038)認められた。 FIC indexの平均値においては、AMK(average FIC index=0.6, range; 0.06-1.063)との併用時と、DOXY(average FIC index=0.92, range; 0.363-1.5)との併用時に低いFIC indexを示した。 また、マクロライド系抗菌薬であるCAM、AZM、EMとフルオロキノロン系であるLVFX、STFXはFIC indexの平均値はそれぞれ1.21〜2.0、1.89〜2.0と高い傾向が認められた。33

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