臨床薬理の進歩 No.41
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*1 KASEDA RYOHEI *2 IIDA TOMOMICHI *3 HOSOJIMA MICHIHIRO *4 KABASAWA HIDEYUKI *5 GOTO SAWAKO *6 KUWAHARA SHOJI *7 UGAMURA DAISUKE *8 YOSHIZAWA YUTA *9 TANAKA TAKAHIRO *10 NARITA ICHIEI *11 SAITO AKIHIKO 忰田 亮平*1 飯田 倫理*2 細島 康宏*3 蒲澤 秀門*4 後藤 佐和子*5 桑原 頌治*6宇賀村 大亮*7 吉澤 優太*8 田中 崇裕*9 成田 一衛*10 斎藤 亮彦*11はじめに要   旨Key words:糖尿病性腎症、メガリン、SGLT2阻害薬Analysis of the mechanism underlying renoprotection by SGLT2 inhibitors and urinary companion diagnostics 糖尿病性腎臓病(diabetic kidney disease, DKD)を含む慢性腎臓病(chronic kidney disease, CKD)患者は我が国では約1,330万人と推定され、末期腎不全に進行した場合には大多数は腎代替療法の導入が必要となる。我が国の血液・腹膜透析患者数は年々増加し、その治療には年間約2兆円の医療費が投入されていることから、医療経済上も大きな問題と 糖尿病性腎臓病などの慢性腎臓病においては、その発症や進行を予測するバイオマーカーの開発が進められている。近位尿細管腔側膜に発現するメガリンはタンパク質や薬剤など様々な糸球体濾過物質の再吸収・代謝の 中心的役割を担う分子である。SGLT2阻害薬は腎保護効果も期待されている新規の糖尿病治療薬であるが、尿中のメガリンリガンド蛋白排泄が増加することも報告されている。そこで、SGLT2阻害薬のメガリン発現・機能調整 効果を明らかにするために、2型糖尿病患者におけるSGLT2阻害薬エンパグリフロジンのメガリン抑制を 介した腎保護効果と、尿中メガリン測定などによるコンパニオン診断の有用性について検討するための臨床試験(RECOVERY試験)を実施した。また、動物および培養細胞実験においても、SGLT2阻害薬投与による腎臓中のメガリン蛋白、mRNAの動態を検討した。新潟大学医歯学総合病院 腎・膠原病内科新潟大学大学院医歯学総合研究科 腎・膠原病内科新潟大学大学院医歯学総合研究科 病態栄養学講座         同   上新潟大学大学院医歯学総合研究科 機能分子医学講座         同   上新潟大学大学院医歯学総合研究科 腎・膠原病内科         同   上新潟大学医歯学総合病院 臨床研究推進センター新潟大学大学院医歯学総合研究科 腎・膠原病内科新潟大学大学院医歯学総合研究科 機能分子医学講座なっている。さらにCKD患者は「心腎連関」と言われる機序により、心血管系疾患の有病率やそれによる死亡率も高い。DKDにおいては、腎生検による病理学的検討が病期判断・予後予測においても有用であるが、侵襲も大きく、反復的に行うことはできない。 DKDにおいて、現時点では血清クレアチニン(Cr)値を基にした推算糸球体濾過量(estimated glomerular filtration rate, eGFR)、および随時尿を148SGLT2阻害薬による腎保護作用機序と尿中コンパニオン診断法の検討

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