臨床薬理の進歩 No.41
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ytiitiβ vsneS AUC = 0.79 β-0.180.21-0.22-0.060.410.510.340.271.00.80.60.40.20.00.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0Baseline MaturePCSK9 1-Specificity > 273ng/mL Sensitivity 86% Specificity 73% 表3 LDL-C低下率に寄与する因子の多変量解析(重回帰分析)AgeFemaleBaseline Mature PCSK9BaselineFurin-cleaved PCSK9High-intensity statinBaseline LDL-CBaseline HbA1cBaseline Hemoglobin図5  スタチンの反応性低下(LDL-C低下率15%未満)を予測しうるMature型PCSK9のカットオフ値Univariatep value0.110.060.040.61<0.01<0.01<0.010.02考  察Multivariatep value-0.24<0.010.170.380.230.140.09<0.010.020.13スタチン投与から1ヶ月後までのLDL-C低下率とは有意な関連性は認められなかった。 多変量解析にて、スタチンによるLDL-C低下率に寄与する因子を検証した(表3)。単変量解析では、mature PCSK9、高用量スタチンの使用、登録時のLDL-C値、HbA1c値、ヘモグロビン値が有意な因子であった。多変量解析では、登録時のLDL-C値、HbA1c値とともにmature PCSK9は独立してスタチンによるLDL-C低下率に関連していた。一方、furin-cleaved PCSK9はスタチンによるLDL-C低下率に寄与していなかった。 過去の論文報告からスタチン低反応性をスタチンによるLDL-C低下率15%未満と定義し、スタチン低反応性に寄与するmature PCSK9のカットオフ値をROC曲線解析により検証した。Mature PCSK9値273 ng/mLは感度86%、特異度73%、AUC 0.79であった(図5)。血液中Proprotein Convertase Subxilisin/Kexin Type 9(PCSK9)サブタイプ濃度が脂質低下薬剤の反応性・心血管イベントリスクに及ぼす影響の検証研究 本研究結果から、スタチン投与によりmature PCSK9ならびにfurin-cleaved PCSK9は有意に増加し、特にmature PCSK9値はスタチンによるLDL-C低下率に寄与する因子であることが明らかとなった。Mature PCSK9がスタチン反応性に寄与するメカニズム これまでの研究から、血液中にはmature PCSK9ならびにfurin-cleaved PCSK9が存在しており、肝細胞表層のLDL受容体の分解作用が異なることが確認されている。特に、mature PCSK9はLDL受容体の分解作用がfurin-cleaved PCSK9に比して強力である。故にmature PCSK9が高値を示す症例では、スタチン投与によりLDL受容体の発現を促進させても、mature PCSK9により分解されてしまい血液中のLDL粒子の肝臓内への取り込みが低下し、その結果としてLDL-C低下作用が減弱するものと考えられる。Mature PCSK9が増加する機序について Mature PCSK9の産生が増加することは、スタチンに対する反応性に大きく影響を及ぼすものと考えられるが、Mature PCSK9産生を促進させる機序についての検証は十分に行われていない。これまでに家族性高コレステロール血症を引き起こしうる原因遺伝子について多くの研究が行われて145145

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