臨床薬理の進歩 No.41
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6Variable importanceytivitisneSPeriostinmiR-15b-5pYKL-40miR-223-3pmiR-148a-3pmiR-26b-5pmiR-23a-3p0248図2  ACO診断モデル作成における各バイオマーカーの変数重要度考  察1.00.80.60.40.20.00.00.2AUROC(95% CI)Model 1: 0.71 (0.60, 0.83)Model 2: 0.69 (0.58, 0.80)Model 3: 0.80 (0.70, 0.91)0.40.61 - Specificity0.81.0重要度が最も高いのはmiR-15b-5pであり、血清中ペリオスチン濃度およびYKL-40濃度もともに変数重要度が高値であった。そこで、miR-15b-5p、血清中ペリオスチン濃度およびYKL-40濃度の3つのバイオマーカーを用いて、ACOの鑑別モデルを多項ロジスティクス回帰分析にて作成し、診断モデルの予測性能を示すAUROCを算出した(図3)。miR-15b-5p単独(モデル1)では0.71(95% CI, 0.60–0.83)、血清中ペリオスチン濃度およびYKL-40濃度を用いたモデル(モデル2)では0.69(95% CI, 0.58–0.80)、3つのバイオマーカーを組み合わせたモデル(モデル3)では0.80(95% CI, 0.70–0.91)であった。モデル3ではモデル2に比べ有意(P = 0.017)にAUROCの増大が認められ、モデル1に対しても同様の傾向が認められた(P = 0.060)。臨床研究2:ステロイド抵抗性およびベンラリズマブの効果予測マーカーの構築重症喘息患者におけるステロイド抵抗性関連分子の変動 重症喘息患者および非重症喘息患者の患者背景は以前の報告に示してある6)。GLCCI1、Nrf2、HDAC2遺伝子発現量は、重症喘息患者において非重症喘息患者に比べ有意な低下が認められた6)。COPD患者における治療層別化バイオマーカーの構築図3 ACO診断モデルにおけるROC曲線とAUROC説明変数: 血漿中miR-15b-5p(モデル1)、血清中ペリオスチン濃度 + 血清中YKL-40濃度(モデル2)、血漿中miR-15b-5p + 血清中ペリオスチン濃度 + 血清中YKL-40濃度(モデル3)さらに、各遺伝子発現量により患者を高発現群および低発現群に分けたところ、低発現群において有意に無増悪率の低下が認められ、これら分子の遺伝子発現量の低下は増悪発現の危険因子となることが示された6)。ベンラリズマブ投与によるステロイド抵抗性関連分子の変動 ベンラリズマブ投与重症喘息患者16名は、投与開始時(0週)、4週、8週、16週、24週に承認用量にてベンラリズマブが投与された。Tリンパ球中のGLCCI1、Nrf2、HDAC2遺伝子発現量を0週、8週、16週、24週に評価したところ、GLCCI1遺伝子発現量は、0週に比べ8週、16週、24週のいずれにおいても有意な発現量の増大が認められた(図4)。同様の傾向はNrf2、HDAC2遺伝子発現量においても認められ、どちらも0週に比べ24週では発現量は有意に増大した(図4)。 ACO患者の詳細な病態は現在までに明らかにされていない。疫学的研究によりACO患者の臨床像を特徴付けた報告はこれまでに多くあるが、病態の137137

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