臨床薬理の進歩 No.41
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esod naflusuBまとめ謝  辞(mg/kg/dose)1.61.41.21.00.80.60.40.2 0 0 5 10 15Body weight 20 25(kg)情報の比較について表2に示す。レベチラセタム群では2例(6.7%)でけいれんが生じたがクロナゼパム群ではけいれんはなかった。けいれんを起こした2例中1例ではレベチラセタムの内服ができていなかった。2例ともにけいれんはミダゾラム投与により短時間で頓挫した。いらつき、めまいの副作用についてはレベチラセタム群で有意に多い傾向があった。 レベチラセタム群の12例についてBUの血中濃度の測定が行われていた。レベチラセタムとの併用時にBUがAUC 900 μmol・min/Lに達するのに必要な仮想投与量と添付文書の推奨投与量との間に大きな差がないことが確認できた。(図5)考察 レベチラセタムはクロナゼパムに比較して、いらつきやめまいなどの副作用が少なく、小児においては安全で使いやすいことがわかった。レベチラセタム投与群でけいれんを生じた2例のうち1例は内服ができていなかったことによるものと考えられ、そのような症例では速やかに静注への切替を行うべきである12)。 BUはAUC として800-1500 μmol・min/Lとなるような投与量が推奨されている。我々の検討において、レベチラセタム投与によりBUの血中濃度は影響しなかったことから、レベチラセタムは小児のHSCTにおけるBU併用薬として、有望である図5  レベチラセタム投与下でのBU投与量点線は骨髄破壊的な前処置として使用する場合の標準的に推奨されるBU投与量である。各点はAUCが900 µmol・min/Lとなるための仮想投与量であり、推奨される投与量と大きな差は認められなかった。小児の造血幹細胞移植前処置におけるブスルファン投与法の最適化ことが示された。結語 本検討によりレベチラセタムはBUのけいれん予防薬として比較的安全に使用可能かつ有効であり、またBUの血中濃度に大きな影響を及ぼさないことが示された。 以上二つの研究により、小児HSCTにおけるBUの使用法に関する新たなエビデンスを創出することができた。第一に本邦初のCGDに対するHSCTの前方視的試験を実施し、試験投与に基づく用量調整を用いたBUを使用する前処置法が可能かつ有効であることを示した。そして第二に、BU投与時の抗けいれん薬の適正使用法の整備につながる基盤となるデータを収集できたことである。今後も症例を蓄積し、さらなるエビデンス構築をめざしていく。 本研究の成果は、前半部分についてはBone Marrow Transplantation誌7)に、後半部分についてはInt J Hematol誌12)に掲載された。 小児がんセンター診療部長 加藤元博先生には本研究の遂行にあたって終始、ご指導を頂き、ここに深謝の意を表します。また国立成育医療研究センター 小児がんセンターおよび小児血液・腫瘍研究部の研究室の各位には研究遂行にあたり日頃より有益なご討論ご助言を頂き、ここに感謝の意を表します。また、BUのAUC測定については同志社女子大学薬学部臨床薬剤研究室松元加奈先生にご指導頂き、ここに感謝の意を表します。 本研究を遂行するにあたり、研究助成を賜りました公益財団法人臨床薬理研究振興財団に心より感謝申し上げます。131

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