臨床薬理の進歩 No.41
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表2 レベチラセタム群とクロナゼパム群の臨床情報の比較LevetiracetamN(total 43)Age(min-max)Sex Male:Female Diagnosis, N(%) Leukemia/Lymphoma Solid tumor Immunodeficiency Bone marrow failure CAEBVType of Transplantaion, N(%) Allogenic AutologusConditioning, N(%) MAC RICEvents, N(%) Seizure Somnolence Irritability DizzinessClonazepam30138(4-15)10:037(54)5(38)01(8)08(62)5(38)12(92)1(8)0(0)6(46)8(62)7(54)p-value0.990.13<0.01<0.01投与時は、抗けいれん薬の予防投与が必須とされている9)。予防薬として頻用される抗けいれん薬に、ベンゾジアゼピンやフェニトインがあるが、傾眠や易刺激性などの有害反応が強く、患者のQOL低下につながる恐れがあり改善の余地がある。 近年、有害反応の少ない抗けいれん薬としてレベチラセタムが注目されており、てんかん患者などで広く用いられるようになった。また、国内外でBU投与時のけいれん予防としての報告が散見されるようになり、その安全性と有効性が示されている10,11)。一方で、小児における使用経験、エビデンスは乏しいのが現状である。 今回我々は、BU投与時のけいれん予防薬として、クロナゼパムとレベチラセタムについて比較し、その有効性、安全性、有害反応について後方視的に検討した。さらに、レベチラセタム投与時のBU血中濃度について評価し、レベチラセタムがBUの血中濃度に及ぼす影響についても検討した12)。方法 国立成育医療研究センターでBUを前処置として7(4-16)21:094(14)11(37)13(43)1(4)1(4)19(63)11(37)15(50)15(50)2(7)6(20)0(0)0(0)使用してHSCTを受けた4歳以上の小児HSCTの抗けいれん薬の使用状況について後方視的に検討した。レベチラセタムがBU血中濃度に及ぼす影響を検討するために、BUの血中濃度をBU投与直前、1時間、2時間、3時間、4時間、6時間で測定を行い、AUCを求めた。その結果を用いて、AUC=900μmol・min/Lとなる仮想投与量を計算し、添付文書に記載のある体重別の推奨投与量との比較を行った。統計に関してはフィッシャーの正確検定を使用し、p値が0.05未満の時に有意と判断した。結果 抗けいれん薬として30例にレベチラセタム、13例にクロナゼパムが使用されていた。レベチラセタムは19例ではBU開始2日前から10 mg/kg/dayで投与開始され、BU投与時に20-40 mg/kg/dayに増量されていた。11例ではBU開始1日前から10 mg/kg/dayで投与開始され、BU投与時に20 mg/kg/dayに増量されていた。クロナゼパムは0.1 mg/kg/dayで投与されていた。当センターでは43例の小児患者についての解析を実施した。2群の臨床130

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