臨床薬理の進歩 No.41
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実際の投与量/標準投与量)h×L/gmC(UAUB 01.00.80.60.40.20.0図3 実際のBU投与量とAUC図の左は、実際の投与量と標準投与量の比を示す。用量を調整したBU投与量は標準投与量の中央値63%に減量されていた。図の右は、症例ごとのBU本投与時のAUCを示す。調整したBUにおいて、本投与でのAUCは5例で45-55 mg/L×hの予定範囲内にあったが、GFを起こした1例では38 mg/L×hと低い値であった。BU:ブスルファン GF:二次性生着不全 MAC:骨髄破壊的前処理中央値63%(50-73)GF例 (UPN6)GF例 (UPN6)MACであった場合に安全と判断して試験終了となることとした。結果 約1年間の登録期間で、6例のCGDを登録し、HSCTを実施した(表1)。対象は10代が3例、最少は2歳だった。全例で遺伝子診断がなされており、さまざまな合併症の既往を有し、移植時にも4例で何らかの合併症を有していた。3例でHLAの5/6抗原一致の非血縁骨髄からの移植であった。6例の登録で二次性生着不全としてのイベントが1例のみであったことから、本レジメンは安全と判断して試験終了とした。また、6例中5例において、生着と十分な活性酸素能の回復が得られた。UPN6で二次性生着不全となり、再移植は必要であったが、全例生存していた。1例で皮膚stage3、grade2の急性移植片対宿主病(GVHD)を発症しextensive な慢性GVHDに進展している。他の皮膚のみのgrade1の2例は軽快した。EBウイルスのリンパ増殖性疾患は発症せず、サイトメガロウイルスの再活性化も問題とならなかった。1例で真菌感染、1例で肝中心静脈閉塞症を併発したが、いずれもコントロール可能だった。 登録例におけるBU投与量とAUCについて図3に示す。用量を調整したBU投与量は標準投与量の中央値63%に減量されていた。調整したBUにおいて、本投与でのAUCは5例で45-55 mg/L×hの予定された範囲内にあったが、二次性生着不全を起こした1例では38 mg/L×hと相対的に低い値を示していた。 症例ごとの生着までのカイネティクスを図4に示す。経過良好な5例ではday28において骨髄で完全ドナー型となっており、末梢血でもday56ではドナー優位となっていた。一方で生着不全となった症例ではday28で一旦骨髄ではドナー優位に見えるものの、末梢血T細胞は一貫してレシピエントタイプであったことがわかった。考察 本試験は、本邦におけるCGDに対する初の前方視的な臨床試験である。全て非血縁ドナー(半数はHLA 7/8一致)からのHSCTであったが、6例中5例で生着かつ十分な活性酸素能が得られており、前述のEBMTの報告とほぼ同等の生着率を再現することができた。1例で二次性生着不全となったが、その後再移植を実施し、現在経過良好である。生着不全をきたした原因として、HVG方向7/8一致(A一抗原不一致)のドナーであったことやBUのAUCが38 mg/L×hと相対的に低かったこととの関連が示唆される。とくに、BUについては10080604020128

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