臨床薬理の進歩 No.41
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%%Lm/gn 601 ×(Lm/gn( noitartnecnoC amsalP lanitsetnnoitartnecnoCiortsaG)0)00表2 Talinololのヒト体内動態パラメータ(シミュレーション解析のための基本パラメータ)Parameter(units)DosepKa valuesPlasma unbound fraction (fp)Intracellular unbound fraction (ft)Passive permeabilityP-gp transporter KmVolume of distributionTotal clearance(文献12より改変)(B)Reference13)14)14)Calculated from 図 10Calculated from 図 9Calculated from 図 914)14)濃度依存性試験による膜透過性およびP-gp活性の算出 Caco-2細胞を用いた濃度依存性試験により、P-gpを介したtalinololの輸送活性(Vmax、Km)および受動的な膜透過性(Papp)の算出を試みた(図9)。その結果、P-gpを介したtalinolol輸送に飽和性が観察され、そのKm値は543 ± 230 µM、Vmax値は0.0255 ± 0.0070 nmol/min、CLpassive値は5.77×10-5 mL/minと算出された(表2)。取り込み実験による細胞内タンパク非結合率の算出 Caco-2細胞を用いた取り込み実験から、talinololの細胞内タンパク非結合率(ft)の算出を試みた(図10)。その結果、talinololの取り込みは120分以降で定常状態を示し、その取り込みクリアランスに基づいて、ft値は0.0635と算出された(表2)。図11  Mixing-Tank Modelを用いたtalinololのヒト吸収動態シミュレーションTalinololのヒト経口投与後の(A)血漿中濃度推移および(B)消化管内濃度推移。 Horizontal dotted line: P-gpに対するtalinololのKm値(0.196×106 ng/mL [538 µM])。(文献11より改変)Value1009.43456.351.07×10-65389664030480Mixing-Tank ModelとTransit Compartment Modelを用いたシミュレーション解析 消化管内水分量を250mLとしたmixing-tank modelを用い、経口投与後のtalinololの血中濃度シミュレーションを試みた。その結果、予測値は実測値を大きく下回り、その予測精度が不十分であることが示された(図11A)。本結果に対する原因を明らかにするために、talinololの消化管内濃度の観察を試みたところ、Km値に比べ同程度あるいは低い消化管内濃度が観察され、飽和が生じていない可能性が推察された(図11B)。したがって、P-gpが効率的に機能することで、その吸収性が低下している可能性が考えられた。 一方、文献情報に基づいた薬物動態学的パラメータ(表2)と消化管内水分パラメータ(表3)、ならびにその他種々の生理学的パラメータを組み込んだtransit compartment modelを用い、talinololUnitsmgcm/secµMmLmL/h96(A)3002502001501005012Time (h)2436484.03.02.01.00.012Time (h)243648

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