50年のあゆみ
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Ⅱ.臨床薬理学集中講座:第1期(正式名称は「臨床薬理学集中特別講座」、1997年~2001年)19971998199920002001年人回123452629333341第1期集中特別講座ンバーが多数(合計42名)参加して構成されました。全体を統括する統括班と6つの作業班(インフォームド・コンセント検討班、治験審査委員会機能充実策検討班、治験管理・事務機能充実策検討班、治験支援スタッフ養成策検討班、モニタリング・監査検討班、被験者のメリット・市民への治験啓発策検討班)で構成されました。治験依頼者と治験担当医師の個々の努力のみでは対処し難い事項を重点的にとりあげて、各作業班がこれを分担して支援策を検討し、1998年3月に最終報告書として公表されています(平成9年度厚生科学研究 新GCP普及定着総合研究最終報告書、1998年、および「新GCPの普及定着に向けて」㈱ミクス発行、1998年)。「新GCP普及定着総合研究班」での検討事項は多岐にわたりますが、要点は次のとおりです。(1)治験を実施する各プレイヤーの責務の明確化とチーム医療の重要性:新GCPには、治験に関与するプレイヤー(特に、治験依頼者、治験実施医療機関の長と治験責任医師ら)の責務が明記されました。それに伴い、治験依頼者、治験責任医師、治験分担医師、治験協力者、治験事務局の役割と責任が明確になりました。新GCPの文面には表現されていませんが、各プレイヤーが自らの役割と責任を担って行うチームプレイが治験の成功のためには決定的に重要であることが認識されるようになったのです。(2)文書によるインフォームド・コンセントの実施:それまでは「口頭同意」でもよかったものが、被験者になる候補者の方へ、治験の実施方法について同意説明文書を使って説明し、文書で同意を得るという「文書同意」が必須になりました。治験情報の上手な提供のし方を含むコミュニケーション力の重要性が認識されるようになったのです。(3)治験審査委員会(IRB)の機能充実、(4)治験事務局機能の充実、(5)治験支援スタッフ(特に、臨床研究コーディネーター:CRC)の養成の必要性、(6)モニタリングと監査の導入、(7)被験者として参加する患者・一般市民サイドの理解と協力を得るための啓発活動の重要性など。新GCPの法制化に伴い組織されたこの研究班の成果を基にして、その後のわが国における治験の基盤整備が促進されることになりましたが、臨床薬理研究振興財団の主催する「臨床薬理学集中講座」はまさにこのような治験環境の激動の時期に始まったのです。「臨床薬理学集中講座」は、臨床薬理研究振興財団が主催し、日本臨床薬理学会が後援する形でスタートしました。臨床薬理研究振興財団の行う公益活動のひとつとして始まりました。わが国における臨床薬理学研究者の育成のために裾野を広げるため、対象は若手医師(45歳以下)と薬剤師(40歳以下)として、募集しました。新GCPの完全実施に向けた時代の要請もあり、看護師CRC1名の参加を受け入れました。日程は夏季の月曜日から金曜日までの5日間、会場は旧第一製薬株式会社の東富士研修所で、人里を離れての泊まり込みでの集中研修会でした。表1.臨床薬理学集中講座(第1期)の受講者数(医師と薬剤師を合わせた人数)94集中講座記録集

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