50年のあゆみ
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裾野を広げる意味でハードルが低めの研究助成を期待4)臨床薬理学発展に向けた財団の 役割と期待私たち自身が胸を熱くして臨床薬理学に基づく臨床や研究、そして教育に取り組むことで、後進にその魅力を伝え、少しずつでも仲間を増やしていきたいと思います。――最後に臨床研究など臨床薬理学の充実、発展に向けて財団に対する期待など伺えますか。〈渡邉〉財団からは、長年にわたり臨床薬理学の発展や人材育成に関しさまざまな研究助成をしていただいています。わが国の臨床薬理学の充実に大きく寄与し、臨床薬理学を志す多くの若手研究者をサポートして来ました。さらに最近では集中講座受講者の人的ネットワーク形成にも尽力いただいています。このネットワークから出てきた臨床研究が、実をつけるところまで見届けていただければ、ありがたいと思います。〈安藤〉財団には、昔から留学の助成金も含め、いろいろと支援していただき感謝していますが、中核世代チームの中では、教育に対する助成金としてトラベルグラントがあったらよいという希望は出ていました。また、最近は公的な助成金も含めて、研究をかじっている程度の人には、助成金は取りにくいのが現状です。研究成果を論文化しても掲載料が支払えないために、成果を十分に発表できないこともあります。基本的に一流の研究に対して助成することは重要ですが、臨床薬理の仲間を増やす、裾野を広げる意味では、「ちょっとこんな臨床研究がしたい」という人たちを巻き込めるようにハードルの低い助成金があるとよいなと思っています。目の前の問題を少しでも明らかにするという研究、あるいは症例報告レベルでも、何らかの助成を得て発表してもらえるような取り組みをすることで、臨床薬理の仲間が増えるモチベーションになるのではないかと思っています。〈渡邉〉財団の研究助成課題として採択された研究が開始される前に、ご本人から選考委員にプレゼンテーションしてもらい、必要に応じてアドバイスをする機会があると実現可能性、論文化率も違ってくると思います。〈安藤〉研究ですから、必ずしもうまくいくとは限らないのですが、ちょっとしたハードルのために論文化されない事例もあると思います。そうしたことに対するサポートは大切だと思います。――本日は、貴重なお話をいただき、ありがとうございました。91

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