公益財団法人臨床薬理研究振興財団は、本年、設立50周年という節目を迎えることができました。 半世紀の長きに亘り、弊財団の活動を継続できたことは、歴代の役員、評議員、選考委員、編集委員の先生方のご尽力、研究助成を受けられた先生方のご活躍、そして日本臨床薬理学会ならびに出捐会社である第一三共株式会社をはじめとする多くの皆様の温かいご支援の賜物と、心より感謝申し上げます。1975年に「臨床薬理学の普及と臨床薬理研究者の育成」を使命として、弊財団は…設立されました。石黒武雄先生、石館守三先生をはじめとする当時の医学界を代表する先生方が発起人となり、比較的新しい学問領域であった臨床薬理学の重要性に着目されたことは、今にして思えば、極めて慧眼であったと敬意を新たにするところです。この50年に医療技術・薬物療法は長足の進歩を遂げ、多くの新薬が登場し、日本における治療成績および患者QOLは大きく改善されました。近年では、がんにおいても抗体医薬、分子標的薬、ADC(抗体薬物複合体)を含め、多くの画期的な治療薬が開発され、がんと診断されながらも有意義な時間を長く過ごされる方も増えています。こうした医療技術・薬物療法の進歩において、臨床薬理学は大きな役割を果たしてきました。現在においても、薬物治療の複雑化・高度化が進み、適正使用の確立、個別化医療、新規モダリティの臨床研究等、臨床薬理学が取り組むべき課題は尽きません。弊財団は、設立趣意書に掲げた「基礎、臨床の科学的橋渡しとしての臨床薬理学の…確立」を使命に、臨床薬理学の普及と人材育成に取り組んでまいりました。なかでも、日本臨床薬理学会と連携して行っている「臨床薬理学集中講座」は、薬物療法や臨床試験の基礎を体系的に学ぶ場として、多くの若手医師・薬剤師の研鑽の機会となっています。設立50周年を迎えた今、弊財団はこれまでの実績を礎に、今後も実践的な分野に力を集中し、若手研究者の育成、研究奨励金や留学助成、臨床薬理学集中講座などの活動を通じて、臨床薬理学の普及と研究者の育成に努めていきます。より有効でより安全な薬物治療が国民に広く行き渡ることを願い、弊財団は次の半世紀も臨床薬理学の発展に尽力してまいります。50年にわたり弊財団へのご支援賜りました皆様に心より感謝申し上げるとともに、今後とも変わらぬご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。公益財団法人 臨床薬理研究振興財団理事長 平島 昭司は じ め に
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