50年のあゆみ
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4650周年に寄せて臨床薬理研究振興財団設立50周年、誠におめでとうございます。永きにわたり財団を支えていただきました歴代の関係者の方々のご支援・ご指導に深く感謝申し上げます。50年の間に、臨床薬理学を取り巻く環境も大きく様変わりしました。ICH、GCP省令はもとより、製薬企業のM&A、大学の統合や合併など、世界の社会構造の変遷の中で、臨床薬理学も大きく発展しました。私自身は1984年に日本臨床薬理学会で初めて発表して以来、臨床薬理研究振興財団の研究奨励金や財団賞などのご支援を賜りまして、とても感謝しております。また日本臨床薬理学会の制度委員会、臨床薬理研究振興財団賞の選考委員会、「臨床薬理の進歩」の編集委員会に携わり、臨床薬理学の発展を身近に接することができ望外の喜びでした。特に、「臨床薬理の進歩」には、世界に冠たる国際誌や学会誌に報告された研究成果が含まれ、研究分野、試験デザイン、方法も多岐にわたり、海外留学助成金は、臨床薬理学研究のグローバル化の推進に大きく貢献しました。2019年以降、新型コロナウイルスによるパンデミックを巡り、ワクチン製剤などの開発に加えて、ウイルスの増殖や呼吸機能の障害を抑制する医薬品の探索など、患者を対象に薬効評価試験が実施され、医療現場で使用されています。治療法開発が急務の状況下、臨床薬理学の役割が、テレビ、新聞を通して、一般の方々にも広く浸透しました。2020年12月、第41回日本臨床薬理学会の総会長を務め、福岡で初めての開催となりました。現地とWEBのハイブリッド開催で、行動制限など紆余曲折ございましたが、多くの皆様のご支援のお陰で、途絶えることなく次年度開催へつなげたことに安堵しました。臨床薬理研究振興財団のお陰で、多くの臨床薬理研究者が医療現場や医薬品開発研究の場で活躍され、次世代人材育成に貢献されています。臨床薬理研究振興財団の益々のご発展を祈念しております。財団設立50周年、おめでとうございます。50年と一言で言っても大変な月日である事が、私自身の50年前を思うと本当に良く判ります。 50年前と言いますと、今年大学の定年を迎えました私が15歳。医師を志した頃である事を思い出しました。これまであまり人様にお話をしたことがありませんでしたが、医師を志したきっかけになったのはクロラムフェニコールの副作用、汎血球減少のお話を読んだ事でした。実は当時、自身が処方される事もあった抗生物質で良く効くと思っていたものですから、お薬の功罪に非常な興味を覚えたものでした。この有害作用が話題になって7-8年後の事かと思いますが、このような問題の解決や正しい薬物治療を希求し、かつ新しい治療方法の開発に邁進されてきた諸先輩の皆様のお働きに、今更ながらに尊敬の念を覚えた次第です。 長きにわたり財団は臨床薬理学のために活動されて来られたのですから、今更ながらにもの凄い事だと身に染みて思います。私自身との関わりで言えば、長く不整脈の非薬物療法を専門としていた私が、御縁あって臨床薬理学の分野に入った年、2000年の第4回臨床薬理学集中特別講座で1週間の泊まり込みの講習を受けさせていただいたところから財団とのお付き合いが始まりました。全くの素人だった私にとってこの講習の御指導、財団のお陰をもって定年まで大学で臨床薬理学を担当させていただけたと言っても過言ではありません。心より感謝申し上げます。しかし、これまで臨床薬理学に十分な恩返しが出来ているとも思えません。今後も財団の活動を通じて微力ながら恩返しが出来ればと思っております。財団の益々の発展をお祈りいたしております。大戸 茂弘松本 直樹臨床薬理研究振興財団設立50年に寄せて思いおこすとはじまりはお薬でした九州大学 名誉教授 特命教授公益財団法人 臨床薬理研究振興財団 理事聖マリアンナ医科大学 薬理学講座50周年に寄せて3750周年に寄せて50周年に寄せて

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