臨床薬理研究の更なる発展に向けて独立行政法人 医薬品医療機器総合機構執行役員佐藤 淳子臨床薬理研究振興財団設立50周年おめでとうございます。 私が臨床薬理の世界に足を踏み入れたのは30余年前ですが、その当時に比べ、臨床薬理という学問及びその認知度は著しい深化を遂げていると感じております。従前は治療困難とされていた疾患が、新たな医薬品の登場により治癒可能となる等、薬物治療は大きな変化を遂げています。がん、感染症といった各診療領域でその目覚ましい進歩について議論されることが多いですが、いずれの領域にも縁の下の力持ちとして臨床薬理は深く関与してきているものと思います。 臨床で認められる副作用の防止や早期発見を目指した発現機序解明のような臨床から基礎への流れ、また、基礎研究で見いだされた医薬品候補物質について臨床試験を実施するといった基礎から臨床への流れ、個別化医療等、時代の流れとともに、臨床薬理の領域は日々進展を続けています。 昨今は、Patient and Public Involvement(PPI)等、患者や市民中心の医療についても浸透しつつあります。患者のみならず、一般市民とともに医薬品開発、安全対策、適正使用推進を進めるとともに、一定の理解をもって自らが個別化医療を選択できる社会を創造していくためにも臨床薬理は不可欠であると考えています。 私自身は、本財団が開催されている臨床薬理学集中講座にご縁を頂き、普段はなかなかお話しする機会がないような参加者の皆様と交流する機会を頂いております。本財団の活動は、臨床薬理をとおして、様々な領域で活躍されている方々に交流の機会を提供し、臨床薬理の更なる発展を加速していただいていると感じております。 臨床薬理学、そして、本財団の更なる発展が患者・市民の健康に寄与することを心より祈念しております。 臨床薬理研究振興財団の50周年の貢献に感謝を込めて昭和医科大学大学院 薬学研究科 臨床研究開発学分野 教授肥田 典子公益財団法人臨床薬理研究振興財団の設立50周年を心よりお祝い申し上げます。 半世紀にわたる財団の歩みは、日本の臨床薬理学の発展そのものであり、私自身もその恩恵を受けた一人として、深い感謝の念を抱いております。臨床薬理学の研究者として活動を始めて以来、貴財団との関わりは私のキャリアに大きな影響を与えてきました。財団賞への応募と研究資金の獲得は、私の研究生活における重要な転機となりました。 貴財団が主催する臨床薬理学集中講座には、受講生、ファシリテーター、講師として参加させていただきました。2020年以降はオンライン形式で開催し、新しい集中講座の形を作ることができました。受講生の真摯な姿勢に、臨床薬理学の未来を担う若手研究者の活躍を期待しています。 現在、昭和医科大学大学院薬学研究科臨床研究開発学分野の教授として、貴財団が築いてこられた人材育成の伝統の重要性を実感しています。貴財団の活動で培われた人的ネットワークは、研究者にとってかけがえのない財産です。 50年という節目を迎え、貴財団のこれまでの多大なる貢献に深い敬意と感謝を表すとともに、今後の更なる発展を心より願っております。臨床薬理学の未来は、貴財団の皆様の献身的な努力によって、一層明るいものになると確信しています。これからも昭和医科大学として、また一研究者として、貴財団の使命の実現に向けて尽力させていただく所存です。貴財団との協働を通じて、臨床薬理学の発展と医療の質の向上に貢献できることを楽しみにしております。 貴財団の益々のご発展と、関係者の皆様のご健勝を心よりお祈り申し上げます。50周年に寄せて2250周年に寄せて31
元のページ ../index.html#33