29臨床薬理研究振興財団設立50周年、まことにおめでとうございます。 私が臨床薬理研究振興財団の活動を初めて認識したのは2006年の春になります。1993年から内科医として診療と研究に従事していましたが、2005年6月から浜松医科大学の臨床薬理学講座で臨床薬理に関する研究を始めることになりました。何をしようかと考えていた時に、医局にあった財団の「臨床薬理の進歩」という報告書を見つけ、研究奨励金制度を知りました。臨床薬理学という募集研究分野に応募し、薬物代謝酵素の遺伝子多型と抗がん剤の薬物動態に関する研究を行うことができました。2010年の2度目の研究奨励金では薬物相互作用の観点から酵素誘導の消失にフォーカスを当てて研究し、この成果は研究大賞と第25回の臨床薬理研究振興財団賞学術論文賞に選んでいただきました。以後、薬物代謝酵素や遺伝子多型、薬物相互作用の研究を継続していますが、臨床薬理に重点を当てた本研究助成制度の存在は非常に大きいものであると実感しています。 また「臨床薬理集中講座」と対をなす「集中講座フォローアップセミナー」の担当も務めさせていただき、多くの若い研究者との出会いの機会をいただいています。2024年からは冒頭に記載しました「臨床薬理の進歩」の編集も担当させていただいており、20年になる私自身の臨床薬理学の活動にとって財団はなくてはならない存在となっています。改めて御礼申し上げます。 我が国の臨床薬理研究の推進に果たされた大きな貢献に深く感謝するとともに、引き続きのご支援をよろしくお願いいたします。臨床薬理研究振興財団が設立50周年を迎えられたこと、心よりお慶び申し上げます。また、これまで財団の運営に関わられた歴代の役員、関係者の皆さま、ならびに出捐企業である第一三共株式会社に深く御礼申し上げます。 私は1995年に金沢大学医学部を卒業し、そのまま母校の内科系大学院に進学、修了後は附属病院に勤務しておりました。その後、2003年に自治医科大学臨床薬理学教室(藤村昭夫教授)へ内地留学する機会を得て、そこで初めて臨床薬理学を学びました。同年には、新規ABCトランスポーターの生理的・病態的意義の解明をテーマに臨床薬理研究振興財団の『第14回研究助成金』を拝受し、臨床薬理学の研究に没頭いたしました。その後、2008年からは同教室のスタッフとなり、2009年には骨粗鬆症治療薬の時間治療をテーマに『第33回研究奨励金』をいただきました。また、2011年にはその研究成果に対し研究大賞をいただく栄誉にもあずかりました。さらに2014年には、トキシコゲノミクス手法を用いた安全性バイオマーカーの開発をテーマとして、日本臨床薬理学会を通じて選考される『第24回学術奨励賞』を拝受し、臨床薬理学研究を継続することができました。 2016年には母校に戻り現職に就き、医学生に薬理学を教える一方で、現在も基礎・臨床研究を継続しております。このように、私の研究者としての歩みは、臨床薬理研究振興財団の多大なる支援によって成し遂げられたものであり、深く感謝しております。 臨床薬理研究振興財団のさらなる発展をお祈り申し上げますとともに、私も恩返しとして財団の活動に寄与し、後進の臨床薬理学者の育成に努めてまいりたいと存じます。ひき続き、どうぞよろしくお願い申し上げます。乾 直輝安藤 仁50周年おめでとうございます臨床薬理研究振興財団50周年を祝して浜松医科大学医学部 臨床薬理学講座金沢大学 医薬保健研究域医学系 細胞分子機能学 教授2050周年に寄せて50周年に寄せて
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