財団設立50周年 ~小児医療への尽力に感謝を込めて横浜市立大学大学院医学研究科 発生成育小児医療学伊藤 秀一臨床薬理研究振興財団の設立50周年を心よりお祝い申し上げます。この記念すべき節目を迎えられたことは、医薬品の適正使用を推進し、臨床薬理学の発展に多大なる貢献を果たされてきた財団の皆さまのたゆまぬ努力と、その卓越した成果の賜物であると存じます。小児科医を代表して、この貴重な機会に感謝と敬意の意を表します。 臨床薬理学は、患者に安全かつ効果的な治療を提供するための不可欠な学問領域であり、とりわけ発達段階に応じた薬物治療が求められる小児医療において、その果たす役割は極めて重要です。小児特有の薬物動態や薬力学に対応しながら、患者ごとに最適な薬物治療を実現するためには、豊富なエビデンスと専門的な知識が必要です。特に、小児向けの薬剤開発や治験においては、成人領域と比較して倫理的配慮や治験参加者の確保といった課題が多く、その結果、小児医療ではいわゆる「ドラッグラグ」が顕著に見られる現状があります。日本の小児医療や小児臨床薬理学の分野では、依然として様々な課題を抱えていますが、貴財団が長年にわたり推進されてきた研究助成、教育活動、国際連携の取り組みは、小児医療の質の向上において大きな足跡を残してきました。 今後も、貴財団が小児をはじめとするすべての患者が適正かつ安全な医療を享受できる社会の実現を目指し、更なるご活躍を祈念申し上げます。私たち小児医療従事者もまた、貴財団の取り組みを支えるべく尽力してまいります。50周年を迎えられた貴財団の歩みに改めて深い感謝と敬意を表すとともに、小児医療への継続的なご支援をお願い申し上げます。 臨床薬理研究振興財団の50周年を祝して摂南大学薬学部 臨床薬理学研究室 教授河田 興臨床薬理研究振興財団の設立から50年という節目を迎えるにあたり、この貴重な機会に寄稿させていただくことを、大変光栄に思います。これまでの50年間、財団は臨床薬理学の研究進展とその研究を通じて医療現場における薬物療法の実践に大きな役割を果たしてきました。この記念すべき節目に、私は財団から受けた支援に感謝の気持ちを込めて、臨床薬理学の未来に対する期待を述べさせていただきます。 私は2007年に日本臨床薬理学会臨床薬理研究振興財団賞を受賞し、財団の支援を受けてカナダ・トロント小児病院を訪問・見学する機会を得ました。このことは、新生児科医として、また周産期領域の研究者として貴重な経験でした。特に、小児・周産期領域における臨床研究の実践としてMotheriskの現場に触れることができたことは、私の視野を大きく広げ、臨床薬理学の重要性を再認識させてくれました。この経験は、周産期領域の臨床薬理学の研究をさらに深めるきっかけとなり、その後の研究活動に大きな影響を与えました。そして、臨床薬理研究振興財団が提供してくださったこの支援があったからこそ、私が広い視野を持つことができ、その後の活動においても多くの貴重なつながりと経験を得ることができました。 私だけでなく、広く多くの研究者に対して研究助成などを通じて大きな成果がもたらされてきたものと思います。50年という長い歴史を歩んできた臨床薬理研究振興財団は、今後も臨床薬理学の発展とともに薬物療法を通じて社会へ貢献をし続けることでしょう。新たな治療法の開発が進む中、臨床薬理学の役割はますます重要となります。次の50年に向けて、研究者への支援を通じて新たな課題に挑戦し続けることを期待しています。50周年に寄せて1950周年に寄せて50周年に寄せて2850周年に寄せて
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