50年のあゆみ
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27貴財団設立50周年に心よりお祝い申し上げますと共に、これまで当薬剤部に多大なご支援を頂いておりますことに改めて御礼申し上げます。 2006年度に自身は現職として浜松医科大学へ赴任しました。皆さんご存知の通りに本学は臨床薬理学のメッカのようなところです。そんな大学に勤めるからには臨床薬理学分野の教育・研究に力を入れて取り組もうと決意したことを思い出します。しかし、研究へのアイデアや意欲はあっても当時は原資が全く無かったのです。そのような我々を救っていただいたのが貴財団で、翌年度に第32回研究奨励金助成の対象に採択していただきました。当該研究を通じて大学院博士課程修了者も輩出することができた次第です。 これまで貴財団から当薬剤部には、研究奨励金8件、研究大賞1件、学術奨励賞(学術奨励金)2件を助成していただいております。これらを通じて赴任当初に決意した教育・研究の基盤や指導体制も徐々に整えることができました。また、自身は貴財団の選考委員会委員を4年間務めさせていただき、関係者の先生方と意見交換できる機会を頂きました。 そのような経緯もあり、2010年以降で26名が臨床研究を通じて学位(博士)を取得し、現時点で学位取得者16名・博士課程大学院生8名が在籍しています。また、日本臨床薬理学会の認定薬剤師と同指導薬剤師も、これまでにそれぞれ11名と4名が取得しています。成長した職員が次の同僚を支援すると共に、他の大学や病院にも教授・薬剤部長など多くの人材を輩出できる組織になりました。これからも熱意ある仲間達とともに「臨床薬理学の未来」を築いてきたいと思う次第です。この度は臨床薬理研究振興財団設立50周年、誠におめでとうございます。臨床薬理研究者の一人として、貴財団の永きに渡るご支援に改めて感謝申し上げます。 私と貴財団との繋がりは2008年に「気分障害に関連する生物学的指標」というテーマで研究奨励金を頂いたことに始まります。当時私は弘前大学臨床薬理学講座の助教で、ようやく一人で研究を立案・遂行し始めた頃でした。頂いた研究費で遺伝子多型解析に必要な実験器具を一通り揃えることができました。その後薬物代謝酵素CYP2C19とCYP2D6の遺伝子多型解析に注力しました。私は日本人(黄色人種)の遺伝子解析に飽きたらず、ウガンダ人(黒色人種)の遺伝子も解析しました。今でもウガンダ人の薬物代謝酵素遺伝子多型の研究報告は私のもの以外にありません。私が唯一無二の研究を遂行できたのはひとえに貴財団のご支援のお陰です。 その後、室蘭工業大学保健管理センター、北海道科学大学薬学部、昭和大学臨床薬理研究所で教育と研究に従事しました。その間、所属講座の若手教員が貴財団の研究奨励金を頂いたり、共著者が日本臨床薬理学会「臨床薬理研究振興財団賞」学術論文賞を頂いたりするなど、多大なるご支援を賜りました。その都度研究へのモチベーションがさらに高まったことが思い出されます。 2022年12月には日本臨床薬理学会理事を拝命し、2023年度からは同学会「臨床薬理研究振興財団賞」選考委員会の委員長を務めることになりました。自分が支援を賜った貴財団の仕事であり、何か運命のようなものを感じました。将来有望な若手研究者を選考し有意義な支援を行うことで、臨床薬理研究のさらなる発展、健康で幸福な社会の実現に貢献して参る所存です。 末筆ながら臨床薬理研究振興財団のさらなるご発展をお祈り申し上げます。川上 純一三浦 淳設立50周年への感謝と臨床薬理学の未来臨床薬理研究振興財団への感謝浜松医科大学医学部附属病院薬剤部 教授・薬剤部長社会医療法人 即仁会北広島病院 メンタルヘルス科診療部 部長1850周年に寄せて50周年に寄せて

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