臨床薬理研究振興財団設立50周年に当たって徳島文理大学 保健福祉学部看護学科楊河 宏章臨床薬理研究振興財団設立50周年に当たり、心からお祝いを申し上げます。このような長きにわたり、臨床薬理研究の積極的な奨励、推進と臨床薬理学者の育成に努められ、ひいては医学・薬学の進歩に寄与されましたこと、深く敬意を表します。またこのような栄えある記念誌に寄稿の機会を頂戴し、誠にありがたく思います。 私は医学部卒業後、呼吸器内科医を目指し、肺癌を対象とした新規薬物療法の開発に従事しておりました。その経験を背景に、その後20年にわたり、CRC (clinical research coordinator)とともに臨床研究・治験の推進、管理部門で仕事をいたしました。その中でご縁を頂き、2017年から「研究奨励金」「海外留学助成金」の選考委員を務めさせていただきました。選考委員長、また委員の先生方と身近に議論を交わし、何かと学ばせていただいたことに深く感謝しています。 さて、私事ではございますが、2022年より現職として看護師をはじめとした医療職の教育に当たっております。特に看護職にとって、薬物療法に関する知識は不可欠です。CRCとともに業務にあたった経験からは、薬物治療に関する副作用の早期検出、管理において、患者に寄り添う看護職の存在は強調してもしすぎることはありません。臨床薬理学の素養を有する看護職がより深く寄与することで、より効果的で安全な薬物治療が可能になるものと思います。チーム医療のさらなる推進のためにも、看護教育の中においても臨床薬理学の位置づけが拡大していくことが必要です。財団におかれましても活動対象に多様性を踏まえた幅広い職種を加えられて、ますます活発な活動を展開され、力強く発展を続けられますことを願ってやみません。 設立50周年おめでとうございます北里大学 名誉教授熊谷 雄治臨床薬理研究振興財団の設立50周年、まことにおめでとうございます。また、臨床薬理学という医学の中ではニッチに相当する領域の重要性をお汲み取りいただき、50年という長期間にわたり研究者へのご支援をいただいたことに深く感謝いたします。私が最初に貴財団と関わったのは平成3年のことでした。米国留学を決めたものの資金の当てはなく、研究分野も臨床薬理学とは微妙にずれてみえてしまう時間生物学という分野でしたので、途方に暮れていましたが、指導教官である海老原昭夫先生のお薦めで海外留学助成金に応募いたしました。その結果、助成金をいただけることになりましたが、直後に臨床薬理学会からの支援もいただけることになり、貴財団にはお詫びを申し上げ返還いたしました。その後、貴財団には不義理をしてしまった申し訳ない気分で過ごしておりましたが、臨床薬理学会において財団賞選考委員会委員長を拝命し、厳正な審査を行えたことで罪ほろぼしができた心持ちでおります。財団賞・学術奨励賞については特に若手研究者への支援についてご理解を頂き、さらに研究者間のネットワーク構築にもご助力いただくなど、本研究分野へのご貢献は計り知れぬものがあると感じております。繰り返しになりますが、一研究者として心より感謝申し上げますとともに、今後のさらなるご発展をお祈りいたします。50周年に寄せて1650周年に寄せて25
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