臨床薬理研究振興財団設立50周年のお祝いとお礼慶應義塾大学 名誉教授谷川原 祐介私は、臨床薬理学の若手研究者として活動していた1998年に、学術奨励賞を受賞いたしました。その年の4月には慶應義塾大学医学部教授(薬剤部)に就任し、私のキャリアにとって大きな転機となりました。この賞をいただいたことで、臨床薬理学研究に対する情熱と自信が深まり、その後の研究活動や教育、さらには新たな知見を社会に還元するための原動力となり、現在に至っています。臨床薬理研究振興財団賞の受賞が、私にとって大きな自信となったことは、今でも強く実感しています。ありがとうございました。 振り返れば、財団がこれまでに果たしてきた役割は、単なる支援にとどまらず、臨床薬理学の進展において欠かせないものであり、多くの若手研究者を育成するとともに、医療現場における薬物療法の向上を目指す研究に大きく貢献してきたことに、深い敬意を表します。私もその一員として、微力ながら貢献できたことを誇りに思っています。 貴財団の50年間の歩みは、臨床薬理学の発展とともにあり、新治療法の開発や臨床における薬剤適正使用において、本領域の重要性はますます増しています。今後も新たな挑戦を続け、次世代の研究者たちに希望と目標を与え続けることを、心より願っております。財団のますますのご発展と、さらなるご成功をお祈り申し上げます。 財団設立50周年に寄せて慶應義塾大学 名誉教授望月 眞弓臨床薬理研究振興財団設立50周年を心よりお慶び申し上げます。改めて臨床薬理学の発展への長きにわたる貴財団のご貢献に敬意を表します。 「臨床薬理学」は、「薬理学」を基礎として「人」における薬の有効性や安全性を検討し適切な使用法を確立するための研究分野といわれ、「人」を強く意識していることに特徴があります。 私が貴財団の研究助成の選考委員を務めさせていただいた2011〜2013年度の助成交付者のテーマを振り返りますと、薬物治療の個人差、個別化がタイトルに入っている研究が多く、4割程度存在しました。PK/PDモデルの研究から実臨床へ応用し薬物治療の適正化に貢献する、まさに臨床薬理学の中核を成す研究です。一方、最近のテーマでは、薬の有効性、安全性を検証するための臨床試験に対する助成の割合が増えているように感じます。Evidence-Based Medicineが当たり前となる中で、臨床試験が適切に実施され臨床に役立つデータが創出されることもまた重要です。こうしたテーマへの助成が単に薬の有効性、安全性の検証に留まらず、高い倫理観をもった臨床薬理研究者養成の支援になることも期待したいところです。 貴財団は、臨床薬理学の研究を奨励し臨床薬理研究者の養成を通じて、最終的に国民の保健衛生の向上に寄与することを目的とされています。設立から50年を経て、貴財団の助成を受けた多くの研究者が、医学部教授、薬学部教授、病院長、薬剤部長として活躍され、より良い医療提供に貢献されていることは、財団の設立の目的がしっかり結実している証であると思います。 最後に、貴財団の今後の益々の発展と日本の臨床薬理学の進歩への寄与を祈念して、お祝いの言葉とさせていただきます。50周年に寄せて1550周年に寄せて50周年に寄せて2450周年に寄せて
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