50年のあゆみ
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23臨床薬理研究振興団の設立50周年をお祝い申し上げます。 財団に置かれましては、臨床薬理研究に関わるアカデミアのために海外留学の支援、研究費の支援、研究成果の表彰とともに、アカデミアの交流に、長年ご援助頂きました。私自身も指導する先生方の海外留学、あるいは研究経費に援助を頂き、その活動を基礎として現在、皆、それぞれの立場で国内、海外で活躍しております。また研究費助成の選考委員も担当させていただきました。選考に当たっては、企業活動として直接に自社に対して還元されることを求められることなく、純粋に臨床薬理研究の発展に寄与する視点から選考させていただきました。本邦の臨床薬理のアカデミアとそれぞれが進める研究の発展を半世紀にわたって支援されてきたことは特記すべきことで感謝しております。また日本臨床薬理学会へ海外留学の支援費を頂き、学会で委員会を立ち上げて研究者、CRCの研修者を選考させていただきました。私も委員および、委員長として担当しました。海外留学の支援は学会入会の大きなインセンティブとなり、学会自体の発展に大きな力となってきました。 私自身は大学を定年して特任教授として勤務後、済生会今治病院で臨床研究センター長として創薬研究の審査、事務局を担当するとともに責任医師、分担医師として治験や臨床研究を担当しております。学会活動と創薬研究、薬物動態の臨床研究に財団のご支援を頂いたことが現在の活動に大きな力となっており、感謝しております。 臨床薬理研究振興財団の今後の一層の発展と我が国の臨床薬理研究の発展を祈念しております。臨床薬理研究振興財団が設立50周年を迎えられますことを心よりお慶び申し上げます。 その設立趣旨にもありますように「臨床薬理学は、単に臨床に直接関連を有する薬理学の一部分と解されるものではなく、薬理学を基礎として、人間における薬物の有効性、安全性ならびにその正しい使い方の科学を確立するために必要なすべての知識と方法に関与する学問であり、他の基礎科学および臨床医学各科との協力の上に成り立つもの」です。 私は1983年に医学部卒業後、精神医学を志し、大学院では動物実験を中心に時間生物学、精神神経薬理学を学んできましたが、大学院を修了した1987年頃から「精神疾患患者における向精神薬の薬物代謝の個体差と人種差」というテーマに取り組み、その過程で薬物動態を解析する技術習得のみならず、ゲノム解析技術の爆発的進歩による薬物代謝の詳細な理解とともに、様々な新しい作用機序の向精神薬が開発され、それらを統合してそれらの薬物の有効性、安全性を高めることができる利用法の開発を目指してまいりました。このことは精神科臨床を行う上でも私の物事の捉え方の基礎であり、獨協医科大学精神神経医学講座在職中のみならず、現在の職場である栃木県立岡本台病院で精神科専攻医の教育にも「臨床薬理学が与えてくれたもの」が非常に役立っていると感じております。「臨床薬理学が与えてくれるもの」をどのように継承していくかという点で教育、人材育成は大変重要であると考えます。臨床薬理研究振興財団は発足当初から海外留学支援、研究奨励金の交付、優れた学術論文の顕彰をされ、臨床薬理学の未来を担う方々の育成に尽力され、我が国の臨床薬理学の発展に多大な貢献をされてきたことに改めて敬意を表し、今後更なるご発展をお祈り申し上げます。野元 正弘下田 和孝財団設立50周年に寄せて臨床薬理研究振興財団設立50周年に寄せて愛媛大学 名誉教授・客員教授恩賜財団済生会 今治病院 脳神経内科・臨床研究センター センター長地方独立行政法人 栃木県立岡本台病院 理事長・院長獨協医科大学 名誉教授1450周年に寄せて50周年に寄せて

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