2050周年に寄せて臨床薬理研究振興財団設立50周年、誠におめでとう御座居ます。心からお祝い申し上げます。 振り返ってみますと、私が当財団の選考委員を務めさせていただいたのは、2001年に名古屋大学医学部を退官し、独立行政法人労働者健康安全機構中部ろうさい病院に院長として赴任した2年目でした。当院の建て替えの協議が始まったばかりか、国際糖尿病連合(International DiabetesFederation: IDF)のVice Presidentに推薦され、翌年就任という超多忙の折でした。昔から、忙しい所に仕事が集中するの例(たとえ)に正にぴったりで、そんな最中に当財団に関わらせていただきました。 研究者にとって、研究資金の調達は欠かせなく、私自身も医学部時代に苦労したことが懐かしく憶い出されます。昨今は、研究費の調達がより厳しい状況にあると伺っています。その様な状況下にあって、当財団からの支援は研究者にとって、この上なく貴重で有り難いことはここに述べるまでもありません。また、これまで選ばれた数多くの研究が我が国のみならず、世界の病いに苦しむ人々に多大な貢献をなして来たことに疑う余地はありません。これに満足されることなく、次なる50年すなわち設立100周年に向けて、これまで以上に臨床薬理研究振興財団が果たす役割への期待は大きく、我が国から多くの素晴らしい研究の誕生に寄与されんことを願い、お祝いの言葉にかえさせていただきます。小生と本財団との関係は1993年第14回日本臨床薬理学会で財団賞を頂いた時からである。その後、臨床薬理学の若手研究者育成の一環として現在も継続する本財団臨床薬理集中講座が第一期(1997年)東富士で一週間の泊まり込みで始まった。その前後から、日・米・欧三極の医薬品承認審査のハーモナイゼイション国際会議であるICHが開かれ、1998年の新GCP実施に向けて我が国の治験実施医療機関はその体制整備が急務であった。そのころ小生は聖マリアンナ医科大学におり、「厚生省GCP適正運用モデル事業」として、IRBの適正運用、治験コーディネータ(CRC)の導入、被験者の負担軽減費検討等を実施した。当時、我が国になかったCRCの導入のため米国の大学、医療機関等を医師、薬剤師、看護師等で見学し「CRCの導入は出来そうだ」との感触を持った。しかし、CRCは医療現場において業務はわかっても、臨床薬理学的知識が全く乏しかった。そこで、前述の本財団、第一期第1回目の集中講座に看護師(故、大泉京子)を参加させた。その後は新聞にも良く紹介され我が国のCRC導入のスタートとなった。第5回(2011年)には2028年にCRCあり方会議の会議代表となる竹ノ下祥子、さらにしばらくして葉山で再開された第二期第1回(2016年)肥田典子(現、薬学部教授)、第2回(2017年)三邉武彦(現、統括研究推進センター長、臨床薬理学会理事)、さらにコロナ後オンライン開催になった第三期第1回(2023年)龍家圭(現、臨床薬理研究所准教授)等々、小生の聖マリアンナ医大、昭和医科大学の長い間に多くの若者たち(受講者総数491名)が本財団の集中講座を受講し、現在も臨床研究に携わっていることに感謝している。小生、現在はチーフオーガナイザーを拝命しているが、毎年、本集中講座にご理解とご協力をいただいている多くの指導者・講師・ファシリテータ(224人)の先生方には大いに感謝している。堀田 饒100周年に向けて、更なる貢献を毎年夏の臨床薬理集中講座の思い出と今独立行政法人 労働者健康安全機構 中部ろうさい病院 名誉院長昭和医科大学 臨床薬理研究所 所長 特任教授昭和医科大学 病院臨床研究支援センター 副センター長昭和医科大学 統括研究推進センター 副センター長小林 真一50周年に寄せて1150周年に寄せて50周年に寄せて
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