50年のあゆみ
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1850周年に寄せて臨床薬理研究振興財団が1975年9月に設立され、本年 50周年の節目を迎えられましたこと、誠におめでとうございます。 薬物療法における臨床薬理学の奨励と推進、それを支える臨床薬理学者の育成に長く確実な成果を生み出してこられた本財団関係各位の貢献に改めて敬意を表します。 私が旧第一製薬に入社してまだ経験も浅い頃、当時の臨床開発部門にあった先輩から伺った「臨床薬理研究振興財団は、第一製薬研究開発部門の経営幹部が、今後、重要な役割を果たすべく臨床薬理分野の科学的振興を図るために設立し、活動展開する財団」という話を印象深く記憶しております。 それから30余年が経過して、私はその財団の監事として理事会、研究報告会等を通じて本財団の活動に携わらせていただきました。そのような場を通じて歴代の理事長・理事・評議員・監事、そして事務局の皆様が熱心に財団活動を運営されていることにも接してまいりました。更には、財団活動に伴う関係の先生や研究者の方々ともご一緒できましたことは、私の財産であると思っております。本財団にて貴重な経験ができましたことに改めて感謝申し上げます。 本財団ならびに財団関係者の皆様のますますのご発展を祈念いたしまして、ここに祝意を申し上げる次第です。公益財団法人 臨床薬理研究振興財団設立50周年、誠におめでとうございます。がんの領域で臨床薬理に携わり、様々なご支援を頂いている者として、心よりお慶び申し上げます。 私は、がんを薬(抗がん薬)で治したいという思いを抱き、血液腫瘍内科に入局し、気がつけば大学において様々な立場で、約40年を過ごしております。その理由は薬物療法を行う際に、その効果あるいは耐性が、採取した血液の検討により定量可能な形で目の前に現れ、それを基準として治療効果を検討できるという魅力によります。当時、私の扱った薬剤は、恩師中村徹先生以来のcytosine arabinoside(シタラビン)という急性骨髄性白血病のKey drugです。本薬剤は、血中、肝臓あるいは白血球中のcytidine deaminaseにより速やかに不活性化されるため、最初の頃、その酵素活性を薬剤不活性化の指標として、臨床効果の検討を行いました。そして本薬は、生体内で、活性化物ara-CTP、或いは不活性化物ara-Uに代謝されることも明らかになりました。当初は、RIを用いた検討を行い、のちには高速液体クロマトグラフィー(HPLC)も組み込み、それにより臨床量による微量レベルでの定量の道も開け、特に我々の研究室でara-CTPのRIAによる測定法を確立し、臨床検体での活性化物定量も可能となりました。本剤の脂溶性誘導体であるN4-behenoyl ara-C(BHAC、エノシタビン)も興味ある薬物動態を示す、優れた薬剤であることを示しました。 この検討等を端緒として、様々な新薬導入時に治療効果とともに、PK/PD相関検討の重要性も認識されますが、その際、国内臨床薬理学の進歩に大きな役割を果たしたのが、貴財団であると思います。今後の貴財団および我が国の臨床薬理学の益々の発展を心より祈念いたしております。加村 典正上田 孝典設立50周年 おめでとうございます臨床薬理研究振興財団設立50周年を祝して元 公益財団法人 臨床薬理研究振興財団 監事元 第一三共株式会社 顧問福井大学 学長50周年に寄せて950周年に寄せて50周年に寄せて

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