50年のあゆみ
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島津  裕このたび、第7回臨床薬理学集中講座(2023年開催)の受講生の一人として、財団設立50周年記念誌に寄稿する機会をいただき、関係者の皆さまに御礼申し上げます。私は2023年4月より京都大学医学部附属病院の早期医療開発科に所属し、次世代医療・iPS細胞治療研究センター(Ki-CONNECT)にて、早期臨床試験、臨床薬理学的試験に携わっております。それまでは血液内科専門医として急性白血病、悪性リンパ腫や多発性骨髄腫などの血液悪性腫瘍に対して、第一線の臨床現場で働いておりました。また免疫学の基礎研究や、臨床データを活用した臨床研究も行っていたので、そのような研究に関する体系的なトレーニングを受講する機会はございました。しかし昨年4月から携わっている早期臨床試験では、これまで多く経験していた臨床研究と全く異なり、臨床薬理学の知識・経験が豊富でないと適切な臨床開発を担当することができないと実感しました。特に京都大学では、アカデミアシーズのFirst in Human試験を医師主導治験として計画・実施することが多くなってきております。将来、自身が中心となりFIH試験、臨床薬理学的検討を担当することを想定し、第7回臨床薬理学集中講座を受講させていただきました。集中講座は、座学と実習から構成されています。仕事の合間にオンデマンドで自習可能な座学は、便利である反面、主体的に勉強する姿勢が求められ、孤独な一面もありました。しかし、Web形式の実習では多彩な職種の受講生と一つの課題について一緒に考える経験が得られ、特に立場が違うとこれほど見方が変わるのだという視野の違いが大変貴重で勉強になりました。これは本講座の最大の魅力であると感じました。集中講座後は、多職種で集まり患者目線で治験プロセスを改善するためのカンファレンスを開始したり、臨床薬理学チームを設置するなど、早速現場での取り組みにつながっています。集中講座で学んだことを生かして今後も多職種連携を推進し、効率的な治験実施に尽力していきたいと思っております。京都大学医学部附属病院 早期医療開発科 特任助教第7回臨床薬理学集中講座を受講させていただいて(2023年第3期第7回受講)119

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