50年のあゆみ
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富山大学 学術研究部薬学・和漢系 医療薬学研究室 教授講から20年以上経過した今現在においても、所属(大学)を超え、職種(医師・薬剤師)を超えた交流が維持されています。その理由はこの講座の重要な開催意義のひとつである「熱くて密度の濃い時間」を、講座により巡り合えた同志と共有できたおかげと考えています。集中特別講座は開催場所の変更やCovid-19感染拡大によるWeb開催など、さまざまな改善を経て、現在、第3期が行われています。開催形式等の変更はありますが、強力な講師陣による先進的で内容の濃い講義は昔と変わりません。医学・薬学と幅広い領域から将来の臨床薬理学のリーダーとなることが期待される、多くの新進気鋭の若い先生方の参加により、Web開催であるにも関わらず、今まで以上の活発な議論が行われていると聞いています。臨床薬理学は、適切な薬物治療の実践に寄与する知識を学び、教え、そして新たなエビデンスの創出において重要な学問です。より複雑化する医療において多職種連携は必須であり、多種多様な専門性を有する受講生が一堂に集い、熱い議論を交わすことを可能にするのが「臨床薬理学集中特別講座」です。この講座の、日本の臨床薬理学の発展への貢献度は計り知れません。貴重な講座を運営する臨床薬理研究振興財団に、受講生の立場より感謝を申し上げるとともに、今後さらなる財団の発展を心より祈念申し上げます。藤  秀人臨床薬理研究振興財団設立50周年おめでとうございます。財団は1973年生まれの私の少し後輩になりますが、臨床薬理の「り」も分からない私が誕生して間もないころから、連綿と今日まで、臨床薬理学の歴史を紡いでいただいています諸先輩方ならびに第一三共株式会社に心より敬意を表します。私が参加した集中特別講座は、1998年8月に当時の第一製薬株式会社富士研修所で29名の受講者と4泊5日のカリキュラムで行われました。この研修所は、緑豊かな空気のおいしい環境にありました(本音は、「どこにも逃げられない環境だ!!」が、現地に到着したときの私の第一印象でした)。ほぼ、見知らぬ参加者の人たちと、5日間も大丈夫だろうかと、人見知りの私としては心配でした。しかし、参加された皆さんは、とてもフレンドリーで素敵な人たちばかりで、1日目が終わるころにはいろいろお話できるようになっていました。それぞれの講義を今振り返ると、講師の先生方は一流の研究者であり、多くの学びを得られつつ、新しい科学的視点を醸成するいい機会となりました。カリキュラムの中で最も印象に残っているのは、中野重行先生が担当されたロールプレイングです。今でこそ、ロールプレイングは、学部の教育でも当たり前のように用いられる教育手法ですが、当時の私には、人前で役を任され、その立場で物事を考えていくことが、照れくささや恥ずかしさ、緊張があり、とても大変であったことを覚えています。しかし、今では、この経験はその後の私の研究者・教員人生にとても有益であったと感じています。当時の私は、「自分が自分が」で、他者のことを考える、物事を俯瞰して考えるということが得意ではありませんでした。そのため、独りよがりな行動や発想が多かったように思います。しかし、ロールプレイングの経験を通して、物事を客観的かつ複数の視点・論点から考え、その中から最良と思われる一手を講じるという行動が少しずつできるようになったと感じています。その後、私は、大学の教員となり、いくつかの学会で賞をいただき、今では教授職を拝命しています。臨床薬理研究振興財団からも、多くのサポートをいただいております。私の研究者・教育者としての成長に際して貴重な機会を与えていただきました講師の先生方および財団には心より感謝しております。最後に、臨床薬理学集中講座は、これから磨かれていく玉石の人たちに多くの刺激を与え、その後、さ第2回臨床薬理学集中特別講座に参加して(1998年第1期第2回受講)107

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