内田 直樹「臨床薬理研究振興財団」設立50周年をお祝い申し上げます。私は振興財団が開催する「臨床薬理学集中特別講座」の記念すべき第1期第1回生として1997年に受講させていただきました。本記念誌に掲載される第1回生の受講者の一覧を改めて見直すと、いまや臨床薬理学の指導者として各方面で活躍している面々ばかりであることがわかります。これは「将来の指導者の臨床薬理学に対する見識を高め、臨床薬理学発展の一助とすべく」の信念のもとに集中特別講座(以下、講座)が開講された成果を証明するものと考えます。当時の講座は旧第一製薬株式会社の東富士研修所において5日間の泊まり込みで行われました。当時のカリキュラムから、日本の臨床薬理学における「最高の講師陣」による「最高の講義」であったことがわかります。受講生の多くは当時まだ学生(修士・博士)であり、臨床薬理学が何たるかを明確に理解していませんでしたが、受講後にさらなる臨床薬理学の自己研鑽を重ねる「きっかけ」となったことは確かでしょう。それが受講生の現在の活躍につながっていることは明らかであり、素晴らしい研修の機会を得ることができたことを改めて感謝いたします。印象的な講義として第1日目(8月4日)の海老原昭夫先生の講義をご紹介します。海老原先生による臨床薬理学の歴史の講義の折、先生ご自身の逸話をお話しいただきました。体調を崩された妹さんを背負って長い道のりを歩き、近所の医者に受診させたという話のなかに、研修所を管理していた第一製薬の「テラポール」という薬の名前が何度も出てきました。海老原先生の独特の語り口調で何度も連呼される「テラポール」の印象はわれわれ受講生に強く残り、受講の記念写真を研修所内の「テラポール」の石碑の前で撮る理由となりました。加えて、受講後において幾度も開催されている受講メンバーの「同窓会」の名称を「テラポールの会」とすることに異論はありませんでした。「テラポールの会」は、ほぼ毎年、日本臨床薬理学会学術総会の折に有志が集まって行われており、受昭和大学医学部 薬理学講座 臨床薬理学部門 教授集中講座記録集研修所内「テラポール」石碑前にて撮影集中特別講座 第1期第1回生からお祝い申し上げます(1997年第1期第1回受講)106受講者経験メッセージ
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